日立、熱劣化を抑制可能な300℃以下で融ける気密接着用低融点ガラスを開発

日立製作所と日立化成工業は11月26日、220~300℃で融ける低融点ガラスの開発に成功したことを発表した。

水晶振動子やMEMSを中心に、高品質の電子デバイスでは、300℃前後での真空接着が必要であるため、接着材には金スズはんだが使用されているほか、近年、接着樹脂が使用される電子デバイスの一部では、その信頼性を上げるため、気密性や耐湿性の高い低温接着材の開発が要求されるようになっていた。同ガラスは日立化成の環境適合バナジウム系低融点ガラス「Vaneetect」(接着温度350~400℃)をさらに低温化したもので、そうした低温で接着したいというニーズに対応するために開発されたもの。

従来の低融点ガラス技術は、ガラス構造の網目骨格の中に、酸素イオンとの結合力が小さい陽イオンやイオン半径の大きい陽イオンを導入することで接着温度を低温化するとともに、高い気密性と耐湿性、耐水性を実現していたが、同ガラスではそうした技術を基に、低融点化効果の高い銀イオンを安定して導入できるガラス構造へ制御することで、220~300℃の低温化を達成した。また、ガラス構造への銀イオンの導入量を調整することで、接着温度を制御することも可能なほか、水分子と結合しやすいイオンを低減することで、これまで以上に優れた耐湿性、耐水性も実現したという。

さらに、鉛とハロゲンを含まないことから環境負荷の低減が可能なほか、酸化物ガラス構造であるため、大気中、窒素中、真空中のいずれにおいても加熱、接着することができ、ホットプレートや赤外線ランプ、各種レーザーなどの光源による加熱が可能。レーザーのビームを用いた場合は、耐熱性が低い有機素子や樹脂基板を搭載した電子デバイスに対しても、低融点ガラスから構成される接着部分のみを加熱し接着できるため、デバイスの熱劣化を防ぐことができるという。

なお、日立では同ガラスについて、金スズはんだや接着樹脂への代替可能性があり、従来にないデバイス構造やプロセス技術を実現する新たな低温気密接着材として期待されるとしており、即日、日立化成よりサンプル提供を開始している。

今回開発された低融点ガラスの軟化流動特性



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