アールエスコンポーネンツ(RSコンポーネンツ)は11月22日、同社が提供する無料基板CADツール「デザインスパークPCB」の最新版となるバージョン4.0の提供を開始したこと、ならびに電気・電子部品の基板CADデータライブラリデータベース「ModelSource」を公開したことを発表した。

デザインスパークPCBは同社が運営するエンジニア向けコミュニティサイト「DesignSpark」にて提供される無料基板CADツールで、2010年に提供を開始して以降、シミュレーションツールとの連携や設計計算機能、部品のグループ化機能などが追加されてきた。

今回のバージョン4.0では新たに「部品表(BOM)見積もりツール」が追加された。これによりPCB設計に必要な部品の即時見積りが可能となるほか、部品ライブラリに登録されている同社の品番をベースとして部品表のユーザー報告書を自動的に作成することが可能となった。また、オンラインストアとの連携により、設計に使用した全部品(BOMリスト)との価格と在庫状況を1クリックで照会したりすることも可能となった。

さらに、もう1つの新機能である「基板作成見積もりツール」により、基板サイズや配線層数、トラック幅や銅ギャップ、ドリルサイズといった製造限度などを、基板設計ツールよりダイレクトに取得した要素をベースに、チェックを行い製造の可否を確認することができるほか、メジャーな基板製造ベンダと連携することで、実際に基板を製作する費用の見積もり、原価計算ができ、具体的な発注や詳細な商談へと進むことが可能となっている。 この基板製造サービスは、11月22日時点では英国のベンダのみが選択可能となっているが、同社では日本の基板製作ベンダとの交渉を早期に開始し、なるべく早い時期で日本のカスタマへの選択肢を用意したいとしている。

DesignSpark PCB v4.0の新機能の概要など

左の基板レイアウト画面の右のボックスに羅列されている文字それぞれが基板上のパーツ。これを1つひとつリスト化するのは非常に手間だが、部品表(BOM)見積もりツールを活用することで、右の図のような部品リストを1クリックで作成することが可能となる

一方のModelSourceは、20種類程度のファイルフォーマットをサポートしたライブラリで、デザインスパークPCB以外の基板設計ツールでも活用することが可能であるため、従来、多大な手間をかけていたライブラリを最新にする作業の負担と時間を省くことが可能となると同社では説明している。

基板CADのライブラリ(回路図などのシンボル)、および機械CADライブラリ(2D&3D CADモデル)を提供する8万点の電気電子部品のCADライブラリ(8万点×20種類のフォーマット=160万個のライブラリ)であり、毎月1万点の収録データの増加が予定されているという。

ちなみに同社は同日付で日本のDesignSparkのWebサイトのリニューアルも行っており、ナビゲーションの改善や検索機能の強化などを施したほか、新たにDesignSpark PCBやMechanical Design、Raspberry Pi、Arduinoなどのフォーラムも立ち上げたという。

なお同社では、世界中のエンジニアを支援していくことを目的に、DesignSparkのコミュニティにて多くの有用なリソースを提供していく方針を示しており、DesignSpark PCBを世界で一番有名な基板CADツールへと育てていくほか、ModelSourceを世界最大のオンラインCADライブラリデータベースへと拡張していくことを目指すとしている。

リニューアルされたコミュニティサイト「DesignSpark」のトップページ。日本語にも対応済み