まるでタイムスリップしたような砲台跡が残る

和歌山市加太(かだ)と淡路島の由良の間に位置する紀淡(きたん)海峡周辺に、旧陸軍によって作られた「由良要塞(ようさい)」があることをご存じだろうか? 第二次世界大戦中、大阪湾を防衛することを目的として作れたこの要塞。「深山第一砲台跡」を見た人たちからは、まるでバイオハザードの世界のようだという声が続々上がっているという……。

その砲台跡は、和歌山市の加太(かだ)・深山(みやま)地区にある。同地区は公園として整備されていて、自由に見学ができる。終戦後に要塞は撤去されたが、深山第一砲台跡や友ヶ島第三砲台跡といった遺構は、比較的当時に近い状態のため、バイオハザードの世界と比較されているのだ。

ゾンビが出てきそうな雰囲気

「天空の城ラピュタ」ともイメージが被る!?

「天空の城ラピュタ」に登場した地下空間とも?

砲台にはりゅう弾砲が据えつけられていた砲座があり、地下には弾薬庫がある。地下空間は階段や土塁で区切られた複雑な配置。まるで戦闘ゲームの世界だ。バイオハザードに例えられることも納得である。

しかし、和歌山市観光課では「地元では、『天空の城ラピュタの世界に似ている』との声をよく聞きます」と言う。いずれにしても、日常とはかけ離れた世界ということだ。

この砲台跡は「国民休暇村紀州加太」の敷地内にあり、また瀬戸内海国立公園にも含まれる。そのため、実際には展望広場から紀淡海峡を望むことができるなど、市民にとっては憩いの場となっている。

和歌山市観光課によると、最近ではここでコスプレの撮影が行われることも多いそうだ。アニメの世界をほうふつさせる景色が、モデルの気分を高めてくれるからかもしれない。

国立公園らしく周囲は豊かな緑に囲まれている

百周年を迎えた南海電鉄加太線

ところで、戦時中はこの地域は、軍用地であったことから一般人の立ち入りが禁止されていた。しかし、加太・深山地区の要塞に軍事物資の輸送が必要だったため、当時は加太軽便鉄道が利用されていたという。その線路は今でも南海電鉄加太線として、市民や観光客に利用され続けているのだが、今年百周年を迎えたそうだ。

そして偶然にも、大阪の吉本興業も2012年で創業百周年を迎える。そこで南海電鉄加太線とコラボして、2013年3月3日までの期間限定で、「加太線・吉本お笑い列車」を走らせている。

電車は芸人の顔をデザインしたヘッドマークを先頭車両に掲げ、車内放送ではギャグを交えながら停車駅名や加太線について紹介している。

吉本新喜劇の人気者がイラストでヘッドマークに描かれている

冬は「温泉」と「グルメ」がメインテーマ

和歌山市では、2012年度より和歌山市の四季それぞれの魅力を発信する四季百景キャンペーンを始めている。春は花、夏は海、秋はグルメというテーマでキャンペーンを展開してきたが、冬は「温泉」と「グルメ」をメインテーマに展開している。

「キャンペーンパンフレットに付いているクーポンを使えば、和歌山市内の飲食店、温泉施設などで割引などの特典が受けられます」と和歌山市観光課。パンフレットは和歌山市内観光案内所をはじめとした市内各所に置かれているそうなので、深山第一砲台跡観光の際にはぜひ手にいれて、和歌山の魅力をリーゾナブルに堪能しよう。

● information
深山第一砲台跡
和歌山県和歌山市深山