日本IBMは11月19日、ネットワークから転送されるデータをリアルタイム処理するストリーム・コンピューティング用ソフトウェアにおいて、ドラッグ・アンド・ドロップの操作で設計図を作成する簡単な手法でのアプリケーション開発が可能になった新バージョン「IBM InfoSphere Streams V3.0(以下、Streams V3.0)」を発表した。使用料金(税別)は444万円から。

Streamsは、膨大な連続したデータ・ストリームを取り込んでフィルタリングや分析を行ったり関連付けたりするユーザー開発アプリケーションを、実行する環境およびサービスを提供する。新規複数アプリケーションの構成図をストリームの処理グラフに表したり、どのハードウェアで処理されるかをマップしたり、次々に寄せられるリクエストに応じて優先順位を変更したりすることができる。

IBMのビッグデータ・プラットフォーム 概要

「Streams」は、IBMが独自に開発したストリーム・コンピューティング用のプログラミング言語「Streams Processing Language(SPL)」を活用してアプリケーションを開発、SPLでは、データの間引き(フィルタリング)を行う機能や複数の入力ストリームを1つの出力ストリームに結合する機能、平均値や最大値を出力する機能など、「オペレーター」と呼ばれるさまざまな機能を提供し、それらを組み合わせることで、アプリケーションを生成。その際、従来バージョンでは、複数のオペレーターを組み合わせ、テキスト形式のソースコードを作成するといった操作が求められるため、SPL言語に対する一定の理解が必要だった。

しかし、新バージョンではオペレーターが矩形のグラフィックとして提供され、開発環境の画面に、ドラッグ・アンド・ドロップで配置し、線で結合するという直感的かつ簡単な操作でアプリケーションを開発できるようになった。これにより、SPL言語を理解する必要なく、ストリーミング・コンピューティング用のアプリケーションが簡単に開発できるようになった。

「IBM InfoSphere Streams V3.0」Streams Studioによるプログラム開発

また、5つの新しい機能群「アクセラレーター」が追加され、顧客のアプリケーション開発の効率化を支援する。「時系列アクセラレーター」では、予測分析や回帰、平準化など、時系列データの分析に便利な20個のオペレーターを提供し、株式市場の取引データや為替レートなどのリアルタイム分析に活用できる。

「空間情報アクセラレーター」では、GPSなどの位置情報から距離や方向を計算するためのオペレーターを提供し、地域特性に応じたマーケティングや効率的な配送ルートの決定などの用途に活用。さらに、ソーシャル・メディア分析用アクセラレーターや、センサーやコンピュータから出力されるデータを取り込み、変換し、モデル化して分析するためのアクセラレーター、通信業向けのアクセラレーターが提供された。

また、日本IBMは同日、テキストなど、蓄積された大容量の非構造化データを処理するソフトウェア製品の新バージョン「IBM InfoSphere BigInsights V2.0(以下、BigInsights V2.0)」を発表した。可視化機能として「IBM Cognos」を新たに追加し、分析結果を従来より簡単かつ多面的に出力できる。また、本年4月に買収したVivisimoの検索機能を統合したことで大量の非構造化データの検索と可視化が可能になる。BigInsights V2.0の使用料金(税別)は、111万円。

「「IBM InfoSphere BigInsights V2.0」