米Wall Street Journalの報道によれば、米Appleは一部の従業員に対して、数週間の"サイドプロジェクト"に従事するための猶予時間を使う権利を与えたという。似たような話としては、Googleの「就業時間の"20%"を主業務外プロジェクトに使っていい」というプログラムの存在が知られており、Googleをはじめとするライバルに対抗するためにAppleが従業員の権利拡大を目指した試行錯誤を続けていると話題になっている。

この話はWall Street Journalが11月12日(現地時間)付けで報じている。このプログラムの存在について話した3人の関係者によれば、その名を「Blue Sky」と呼び、今年初めから一部従業員に対して「サイドプロジェクトに数週間を費やしてよい」との許可を与えたのだという。先端エンジニアは自身の所属している組織での業務以外に複数の外部プロジェクトに関わって作業をしているケースが多いが、こうした活動を支援するのが狙いとみられる。

前述のように対外的にこうした活動で有名なのがGoogleの「20%ポリシー」で、業務時間全体の5分の1を業務外の自身の自由な作業時間に充てていいとしている。米国全体ではいまだ高い失業率ながら、シリコンバレーは優秀な人材獲得を目指して引き抜きや条件アップが常態化しており、エンジニアも働きやすい環境があればすぐに会社を移る傾向がある。こうしたなか、ライバルらに対抗するのがAppleの新しい試みの狙いというわけだ。

WSJによれば、Tim Cook氏が同社CEOに就任して以降、前CEOのSteve Jobs氏の時代よりも従業員ケアに対する動きが顕著になったという。特にAppleの企業体質の変化については昨年ごろから盛んに議論されるようになり、今回の施策もその途上にあるといえるかもしれない。Cook氏率いる新生Appleは、多くの目に見えない部分で着実に変化の道を歩んでいるのだろう。