味の素は11月8日、独自配合のアミノ酸素材「アラニン・プロリン高配合糖質混合物」を運動時に摂取した際に、長時間、血糖値と肝グリコーゲンを維持することで、持久力を向上することを、日本サッカー協会(JFA)との共同研究により明らかにしたと発表した。同成果の詳細は、「第67回 日本体力医学会」にて発表された。

アラニン・プロリン高配合糖質混合物は、体内でエネルギー源となる糖の産生に関与する糖原性アミノ酸であるアラニンとプロリンを高配合し、糖と組み合わせた独自配合のアミノ酸素材。長時間にわたって行うマラソンやサッカーなどの持久系スポーツでは、後半や終盤でのスタミナ切れや、いわゆる「バテ」を感じる主な原因として血糖値の低下があげられ、競技におけるパフォーマンスや成績に影響を与えることが課題とされており、血糖値を維持することの重要性や糖の摂取の必要性が指摘されているが、これらのスポーツでは栄養摂取のタイミングが限られており、一度の摂取でより効果が持続できる素材が求められている。

また、グリコーゲンは、体内に貯蔵することができ、必要な際に取り出して使えるエネルギー源であり、持久系スポーツの実施において、重要な役割を果たしているが、こうした課題に対して、これまで同社では運動前に、糖とアラニン、または、糖とプロリンを併用することにより、糖のみを摂取する場合と比較して、急激な血糖値の上昇を抑えつつ、さらに、長時間の運動後の血糖値や肝グリコーゲンの量の低下を抑制することを明らかにしてきていた。

今回の研究では、アラニンとプロリンを組み合わせ、糖を配合した「アラニン・プロリン高配合糖質混合物」素材を運動時に摂取することで、競技におけるパフォーマンスが向上する成果の確認を行った。具体的には、アラニン・プロリン高配合糖質混合物の、運動時の持久力向上効果を確認することを目的として、動物およびヒトにおける評価試験を実施した。

動物投与試験としては、血糖値と肝グリコーゲンに対する影響を調査。マウスに糖とアラニン・プロリンを同時投与、もしくは糖のみを投与し、15分後から走行運動を継続して負荷し、30分後、65分後、100分後、135分後、170分後に血糖値を測定した結果、同混合物摂取群では、糖のみ投与群に比べ、運動開始100分後以降、血糖値の低下が明らかに抑制されていることが確認された。

マウスにおける血糖値の推移。アラニン・プロリン高配合等質混合物投与群では、糖のみ投与群に比べ、運動開始100分後以降、血糖値の低下が抑制されていることがわかる

また、肝グリコーゲンの蓄積量を測定したところ、運動開始60分後において同混合物摂取群にて明らかに高い数値が示されたという。

マウスの肝グリコーゲン量の変化。アラニン・プロリン高配合糖質混合物投与群は運動開始60分後に、糖のみ投与群に比べて肝グリコーゲン量で高い数値を示している

さらに持久力に対する影響を調査として、マウスに同混合物、もしくは糖のみを投与し、1分後より走行運動を継続して負荷し、1時間一定速度で走行させた後、走行速度を漸次上げていったところ、同混合物摂取群では、疲労により運動が困難になるまでの時間と距離が明らかに延長していることが確認されたという。

マウスにおける走行可能時間の増加量と距離の増加量の比較。糖とアラニン・プロリン同時投与群では、 糖のみ投与群に比べ、走行可能時間と距離が向上していることがわかる

これらの結果を受けて、JFAと共同で、男子大学生サッカー部員20名に、同混合物、もしくプラセボ食品を摂取させ、サッカーゲーム形式の運動負荷をかけた後、Yo-Yoテスト(スピード持久力評価法)を実施し、走行距離総数の測定を行った。また、運動後に疲労感についてのアンケート調査も行ったところ、両群間にサッカー形式の運動負荷時の走行距離には差がなかったにも関わらず、同混合物摂取群はプラセボ食品摂取群に比べて、疲労により運動の継続が困難になるまでの総走行距離が110m長くなったほか、アンケートにおいても、「疲労感がやや軽減した」と回答した被験者数が多かったという。

ヒト(男子大学生サッカー部員20名による)Yo-Yoテストでの走行距離の比較(左)と疲労感アンケートの結果。アラニン・プロリン高配合糖質混合物摂取群は、プラセボ食品摂取群に比べてより110m長く走行できたほか、アンケートに疲労感が軽減した回答者数は同混合物摂取群では、プラセボ食品摂取群に比べて多かったという

これらの結果から同社は、アラニン・プロリン高配合糖質混合物の摂取は、長時間運動する持久系スポーツを実施する際に、血糖値や肝グリコーゲン量を維持することによって、エネルギーを消耗することによる疲労感を抑えながら、運動終盤のパフォーマンスを向上すると考えられるとしており、今回得られた、同混合物の持久力向上効果に着目して研究を継続していくとしている。