東大、八丈島南方沖にて3台のAUVを同時展開して900mの海底探査に成功

東京大学は11月5日、タイプの異なる自律型水中ロボット(Autonomous Underwater Vehicle:AUV)3台(航行型2台:「AE2000a」(350kg)、「AE2000f」(350kg)、ホバリング型1台:「TUNA-SAND」(250kg))を、八丈島南方のスミス海丘カルデラ(深度900m)にて世界初となる同時展開に成功し、そしてAE2000aが計測したサイドスキャンソナーデータからカルデラ内に熱水マウンド状の地形を発見したと発表した。

近傍に同時展開したAE2000fが計測した化学計測器による海水計測からはその周囲に熱水が吹き出している徴候が見られなかったことから、活動を停止している熱水マウンドと推定されるという。

成果は、東大生産技術研究所 国際研究センターの浦環 教授の研究室を中心とするロボット研究開発チームによるものだ。

470万km2以上という、世界第6位の広大な領海・EEZ(排他的経済水域)を持つ日本においては、鉱物資源開発という観点から「海底熱水鉱床」の探索が重要性を増してきている。そのため、深海底観測の1手段として、海底面近傍を機動的に観測できる小型な自律型海中ロボットの活躍が期待されているところだ。

これまでの深海底の観測では、1隻の船から1台のAUVや遠隔操縦機(Remotely Operated Vehicle:ROV)などの潜水機器を展開して行ってきた。しかし、この間に船の行動は展開する潜水機にしばられてしまうという問題があったのである。

研究船による調査時間は限られているので、複数台の水中機が同時展開できれば、深海底観測をスピードアップさせることが可能だ。また、水中機それぞれが異なる観測センサを搭載して、それぞれの観測ミッションを遂行できれば、ロボットサイズを小型化できるため、大型母船は不要となる。さらに、複数の水中機を利用することで観測項目の多様化と高精度化が可能となるため、深海底のより詳細な観測が実現されるというわけだ。

そこで今回、研究チームが開発したAUVの内、中型のAE2000aとAE2000f、そしてホバリング型で小型のTuna-Sandの計3台を、八丈島南方の180kmにあるスミス海丘カルデラにて同時展開、さらに観測活動が実施されたのである。

ロボットは、海洋研究開発機構の海洋調査船「かいよう」から約30分間隔で次々に投入され、約900m深度のカルデラ底へと潜航していった。それぞれのミッションは、AE2000aがサイドスキャンおよびインターフェロメトリーソナーで詳細な海底地形図を作成、AE2000fが化学計測器などで海水を計測、Tuna-Sandがスチルカメラによる海底の写真撮影だ。

そしてAE2000aが計測してきた海底地形では、熱水マウンド状の地形があることが鮮明に確認された。その周囲におけるAE2000fのデータには、熱水が吹き出している徴候がないことも判明。このことより、マウンド状の地形は過去に活動し、現在は活動を停止している過去の熱水地帯である可能性が高いことがわかった。

この地形は、熱水活動が確認され、経済産業省が重点的に調査を行っている伊是名海穴白嶺サイトと同じような地形になっている。なお白嶺サイトの地形は、浦教授らが開発した別のAUV「r2D4」が、石油天然ガス・金属鉱物資源機構との共同研究にて2008年に明らかにしたものだ。

今回の異なる2タイプのAUVの3台同時展開の成功は、複数台の水中機同時展開による深海底観測という新しい時代の幕を開けたといえよう。また、過去に活動していた熱水活動域と考えられる場所をAUVが探し当てたことは、今後の海底鉱物資源開発に新たな1歩を記したといえると、研究チームはコメントしている。

画像1。TUNA-SAND。撮影は2009年のため、それから改良が施されている

画像2。東大生産研のプールで航行するTUNA-SAND。その前方にいる円筒型のAUVは、「Tri-Dog」。2009年に撮影

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