金融広報中央委員会は10月31日、世帯主が20歳以上でかつ世帯員が2名以上の世帯を対象に実施した2012年の「家計の金融行動に関する世論調査」を発表した。同調査は、6月15日~7月24日の期間に訪問または郵送にて行われ、3,932名から有効回答を得た。

同調査で金融資産の保有状況を調べたところ、平均値は1,108万円となり、2011年の1,150万円から42万円減少した。中央値は450万円。金融商品別に見ると、最も多かったのは「預貯金(郵便貯金を含む)」で56.9%。以下、「生命保険」が17.6%、「有価証券」が13.2%、「個人年金保険」が5.7%と続いた。一方、「金融資産を保有していない」と回答した世帯は26.0%だった。

現在の金融資産残高が1年前と比べて「減った」と回答した世帯は40.1%。それに対して、「増えた」は19.2%、「変わらない」は39.0%だった。

1年前と比較した金融資産残高の増減(出典:金融広報中央委員会Webサイト)

金融資産残高が減少した世帯にその理由を尋ねると、「定例的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから」が43.8%で最多。以下、「耐久消費財(自動車、家具、家電など)購入費用の支出があったから」が30.4%、「こどもの教育費用、結婚費用の支出があったから」が26.2%、「株式、債券価格の低下により、これらの評価額が減少したから」が23.2%と続いた。

金融資産残高が増加した世帯にその理由を質問すると、トップは「定例的な収入が増加したから」で36.6%。次いで、「定例的な収入から貯蓄する割合を引き上げたから」が28.9%、「その他」が22.7%、「相続、退職金等による臨時収入があったから」が8.8%となった。

金融資産の保有目的を聞いたところ、1位は「病気や不時の災害への備え」で67.2%、2位は「老後の生活資金」で64.7%となり、これら2つの回答が圧倒的多数を占めた。3位には29.0%で「子どもの教育資金」が入った。

老後の生活については、「心配である」(「非常に心配である」と「多少心配である」の合計)が82.4%。その理由としては、「年金や保険が十分ではないから」が74.4%、「十分な金融資産がないから」が73.4%となった。

遺産については、44.7%が「老後の世話をしてくれるか、家業を継ぐかなどに関わらずこどもに財産を残してやりたい」と回答。一方、「老後の世話をしてくれるならば、こどもに財産を残してやりたい」は18.1%、「こどもはいるが、自分たちの人生を楽しみたいので、財産を使い切りたい」は14.7%だった。

借入金額の状況について見ると、借入金のある世帯は40.2%。全世帯(借入金のない世帯も含む)の借入金額は平均509万円、借入金のある世帯のみでの借入金額は平均1,340万円で、うち住宅ローンは1,307万円に上った。借入金額の中央値は1,000万円。