海洋プレートの沈み込み方が東日本大震災を起こした震源域である日本海溝と同じ中米コスタリカ沖で、日本人研究者7人を含む国際チームによる海底掘削調査が現地時間23日から始まった。

調査は、日米両国が主導し、26カ国が参加する統合国際深海掘削計画(IODP)の一環として行われる。米国の掘削船「ジョイデス・レゾリューション」には、共同首席研究者の坂口有人海洋研究開発機構技術研究主任をはじめ日本、米国、欧州、韓国、中国、オーストラリア、ブラジルの研究者32人が乗り込む。50日間かけて、海洋プレートが陸側のプレートに沈み込む地点4カ所(水深約500-2,000メートル)の海底を、約350-1,430メートル掘削する。海洋プレート、プレート境界部、プレート境界上部からそれぞれ採取した地質試料の化学組成などを調べる。

巨大地震が繰り返し起きる海洋プレート沈み込み帯は、二つのタイプがある。東海、東南海、南海地震あるいはそれらが連動した巨大地震が繰り返し起きている南海トラフのように、海洋プレートから陸側プレートに堆積物や海洋地殻の一部が付け加わる「付加型」がその一つ。もう一つのタイプが、東日本大震災をもたらした東北地方太平洋沖地震が起きた日本海溝のように、陸側プレートの底面が沈み込む海洋プレートによって削り取られる「浸食型」だ。

コスタリカ沖は日本海溝と同じ「浸食型」で、水深が約7,000メートルの日本海溝と比べ、約2,000メートルと水深が浅いのが特徴。海底下をより深く掘削しやすいことから、昨年3月から4月にかけて今回同様の国際チームによる海底掘削調査が、同じ海域で実施された。今年4-7月には、地球深部探査船「ちきゅう」による日本海溝での掘削調査も行われている。「浸食型」プレート沈み込み帯で発生する地震についての研究が、今回の調査でさらに進むと期待されている。

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