厚生労働省は17日、「10月月例労働経済報告」を発表した。それによると、8月の完全失業率(季節調整値、以下同)は4.2%となり、2カ月ぶりに低下したことが明らかになった。

一般経済の概況については、「景気は引き続き底堅さもみられるが、世界景気の減速などを背景として、このところ弱めの動きになっている」と分析。生産は減少していると同時に、輸出は弱含みにある。企業収益は持ち直しているものの、頭打ち感が見受けられるのに対し、設備投資は一部に弱い動きもあるが、緩やかに持ち直しているという。また、物価の動向を総合して見た場合、下落テンポが緩和しているものの、緩やかなデフレ状況にあるとのこと。

先行きに関しては、当面は弱めの動きが続くと予測。その上で「世界景気のさらなる下振れや金融資本市場の変動などが、景気を下押しするリスクとなっている。また、収益や所得の動向、デフレの影響などにも注意が必要である」と指摘している。

一方、労働経済の概況については、「雇用情勢は依然として厳しさが残るものの、改善の動きがみられる」と報告。8月の完全失業率は、前月比0.1%減の4.2%となり2カ月ぶりに減少した。うち15~24歳層の完全失業率は、同0.2%減の8.0%。就業者数は、同6万人減の6,263万人で2カ月連続の減少となった。雇用者数については、同1万人増の5,513万人で2カ月ぶりに増加した。

雇用・労働力需給(出典:厚生労働省Webサイト)

有効求人倍率は前月と同水準の0.83倍。新規求人倍率は前月比0.02ポイント増の1.33倍だった。有効求職者数が減少していることなどから、有効求人倍率は上昇傾向にある。なお、製造業の残業時間は減少しているという。

賃金について見ると、現金給与総額(原数値・速報)は前年同月比0.2%増の27万4,359円と4カ月ぶりに増加したことが分かった。

先行きについては、「依然として厳しさが残るなかで、底堅く推移することが期待される。ただし、生産減少の影響が製造業の一部にみられることなどに留意が必要である」としている。

一般経済のうち、最終需要の動向については、「個人消費はおおむね横ばいとなっているが、足下で弱い動きがみられる」と報告。2人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済、速報、以下同)は、7月に前月比1.3%減少した後、8月は同2.2%増加。うち勤労者世帯では、7月の同1.8%減から、8月は同1.7%増となった。また、勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)については、8月は73.2%となり、7月の75.4%に比べて2.2%減少した。