第6回の受賞者畠山重篤氏(左)と、モンベル代表辰野勇氏(右)

アウトドアメーカーのモンベルは、「モンベル・チャレンジ・アワード」の第6回(2011年)・第7回(2012年)の受賞者を決定し、10日都内で授賞式を行った。

「モンベル・チャレンジ・アワード」とは、2005年に創設された賞。自然を舞台に、人々に希望を与え、社会に貢献している活動家を応援するためのもの。

第6回の受賞者は、NPO法人「森は海の恋人」理事長の畠山重篤氏、第7回はNPO法人「手のひらに太陽の家プロジェクト」が受賞し、モンベル代表の辰野勇氏から賞が送られた。

「手のひらに太陽の家プロジェクト」の代表佐々木豊志氏(左)が参加

第6回受賞者の畠山重篤氏

第6回「モンベル・チャレンジ・アワード」を受賞した畠山氏は、NPO法人「森は海の恋人」の理事長を務めている。同法人は、子どもたちを対象とした環境教育や自然環境保全などの活動を行っており、自然体験学習の開催や植林など、その内容は多岐にわたる。

畠山氏の職業は漁師。漁師が植林活動をしている理由には、「カキなどの海洋生物のエサは植物プランクトンであり、そのプランクトンは森の養分によって育まれるため」といった背景があるからとのこと。森が良くなれば海も良くなるという理由から、法人名である「森は海の恋人」も決まった。

「森は海の恋人」のプロジェクトによって植えられた岩手県一関市の木々

第7回受賞はNPO法人「手のひらに太陽の家プロジェクト」

イベントには「手のひらに太陽の家プロジェクト」の代表である佐々木豊志氏が参加。

「手のひらに太陽の家」とは、東日本大震災で被災した子どもたちを支援するための復興共生住宅。ペレット(おが粉などを圧縮した小さな固形燃料のこと)を用いたボイラーやストーブを活用しており、太陽光発電や太陽熱給油などの自然エネルギーも用いられているのが特徴。地元の木材が使用されているため、地域産業の活性にも寄与することができるという。

宮城県登米市にある「手のひらに太陽の家」の外観

「震災の支援をしようと思った背景には、アウトドアの経験があります。未知のこと、結果が保証されていないことに対しても、ためらうことなく行動することを、アウトドアの経験から学びました。その行動力で、震災支援のプロジェクトを実行できたと思っています。このプロジェクトは、多くの方々に支えられて実現されました。今回の受賞は、支援していただいた皆さまに対して贈られたものと思っております」(佐々木氏)

過去の受賞者一覧

受賞者 活動内容
第1回:中島正晃氏 手作りボードで、世界中を航海している。1994年、60歳にして大西洋約2万キロメートルをボートで横断し、冒険家に送られるオペル冒険大賞を受賞。2004年には、魚の形をしたボート「ホワイ・ノット」号で大航海に挑戦した。
第2回:シール・エミコ氏 がんを克服したサイクリスト。2001年、生存20%の子宮がんを患い余命半年と宣告されたが、手術と自宅療養で見事克服。パキスタンやインド、ネパールなど、世界中を自転車で走り続けている。
第3回:中村哲氏 アフガニスタンで医療活動を行う医師。人々の飢えや乾きを救うため、独学で土木技術を学び、現地に井戸と農業用水路を建設。内戦や干ばつなどの厳しい状況下で、人々の命を救う活動を行っている
第4回:山崎哲秀氏 北極圏で現地の調査を行っている冒険家。2006年から現在にいたるまで、北極圏の環境調査プロジェクト「アバンナット」に従事している。犬ぞりを使い、積雪中の成分や現地生物の調査、気象の観測などの活動を行っている。
第5回:西田賢司氏 中米、コスタリカなどで活躍する昆虫学者。在来種の絶滅を未然に防ぎ、生態系のバランスを保つ活動を行っている。