マーサージャパンは15日、2012年度「メルボルン・グローバル年金指数ランキング」を発表した。それによると、日本の年金制度の総合ランキングは調査対象国18カ国中17位となり、昨年の14位から順位を下げたことが分かった。

同調査では、対象国の年金制度に0から100までの評価が付けられ、「十分性(Adequacy)」「持続性(Sustainability)」「健全性(Integrity)」の平均評価値が指数として表される。指数自体は、各国の老後の所得保障制度における40以上の調査項目から構成されている。

日本の年金制度は、わずかながら改善が見られ、総合指数は44.4点と昨年の43.9点から0.5ポイント上昇。しかしながら、総合ランキングでは昨年の14位から17位へとランクダウンした。総合指数が改善した理由としては、確定拠出年金制度の従業員拠出の導入により税制優遇が拡大されたほか、成長資産への投資水準が改善した点が主な要因とみられる。

総合ランキング1位は、総合指数82.9点を獲得したデンマーク。デンマークは、十分に積み立てられた年金制度、優れた資産構成と掛金の水準、手厚い給付レベルおよび法令の整った個人年金制度が高く評価され、同調査において初の最高ランクA評価を得た。

総合指数によるランキング結果一覧(出典:マーサージャパンWebサイト)

次いで、2位は昨年1位から順位を下げたオランダで総合指数78.9点、3位はオーストラリアで同75.7点、4位はスウェーデンで同73.4点、5位はスイスで同73.3点。アジア地域について見ると、15位が中国で同45.4点、16位が韓国で同44.7点、最下位がインドで同42.4点との結果となった。

今回の結果について、マーサージャパン年金・財務リスクコンサルティング部門アソシエイト・コンサルタントの田渕祥之氏は、「日本の場合、最近の年金制度改革では、厚生年金等の適用範囲の拡大や確定拠出企業年金の従業員拠出等がありました。これらの改革は低額年金者への救済や老後へ向けた資産形成の選択肢の拡充につながります。しかしながら、ランキングの結果が示すように既に十分な制度とは言いがたく、また今後も経済環境や人口構成(年齢、平均寿命、労働人口などの分布)など、刻々と条件が変わるため、年金制度を引き続き改革する必要があるでしょう」と分析している。

なお、同社は日本の制度の年金指数を改善する上で、「低所得の年金受給者に対する最低年金額の引き上げ」「年金給付額の引き上げに伴う、所得代替率の改善」「(企業年金などの)老齢給付の一部を年金所得として取得するよう定める規制の導入」「平均寿命の増加に伴い、公的年金制度の支給開始年齢の更なる引き上げ」以上4つの方策を提案している。