家計経済研究所はこのほど、第19回「消費生活に関するパネル調査」の結果を発表した。同調査は、年間消費支出額や貯蓄額などの調査項目に関して、同一個人を継続的に追跡し時系列を把握するというもの。今回の調査は2011年10月に実施され、27歳~52歳の女性2,014人から有効回答を得た。

まず、2008年に起きたリーマン・ショックがその後の家計に与えている影響を把握するため、夫の年収(勤労所得、税込)について、発生年の2008年を挟んだ2007年と2009年の間の変化、さらに2010年の年収を調査した。その結果、「減少世帯(リーマン・ショックを挟んで夫の年収が不変ないし減少した世帯)」は全体の過半数となる53.6%を占めた。

「減少世帯」に関して、リーマン・ショックの前後での年収の変化を調べたところ、ショック前の2007年には中央値500万円だったが、ショック後の2009年には同471万円に減少。その後、2010年には同480万円に増加したものの、ショック前の水準まで回復していないことが明らかになった。

「減少世帯」の夫の年収の変動(出典:家計経済研究所Webサイト)

「減少世帯」の1カ月当たりの支出額(9月1カ月分)を見た場合、ショック前の2007年には26万円だったが、2009年には4,200円減って25万6,000円に。しかし、2011年には2009年より7,100円増えて26万3,000円となり、ショック前の金額をわずかに上回っている。

「減少世帯」の家族成員ごとの支出額(9月1カ月分)の変化を調べると、2007年から2009年にかけて、妻のための支出は1,000円減、夫のための支出は2,100円減となった一方、子どものための支出は1,000円増加していた。このうち、夫のための支出は2009年から2011年にかけても300円減少したのに対し、子どものための支出は6,100円増えていたことが判明。他方、貯蓄額については、2011年の支出を2007年と比べた場合4,200円減少していた。これらの結果から、厳しい家計状況下でも、子どものための支出は減らされていなかったことが分かった。

次に、中学生以下の子どもがいる世帯(861世帯)を対象に、祖父母から孫への経済的支援を受けたかどうか尋ねたところ、全体の9.6%が支援を受けたと回答。平均支援額は月額2.6万円だった。

孫への経済的支援があった世帯に対して、夫婦どちらの親(=祖父母)から支援を受けていたかを聞くと、「妻の親だけから」との世帯が最も多く49.4%。さらに、「両方の親から」受けた世帯22.9%と合わせると、妻の親から支援を受けていた世帯は72.4%に上った。

このほか、既婚女性に対して夫のイメージを尋ねたところ、1993年の初回調査時、2011年調査時共に「心の支えになる人」を挙げた人が最も多かった一方で、「空気のような存在」と答えた人が増えていることが判明した。