NECは10月11日、航空機が離発着する際に、鳥の衝突の危険性を軽減するため、空港及びその周辺における鳥の存在等を常時監視する「鳥位置検出ソリューション」を新たに開発し、販売を開始すると発表した。本ソリューションは、東京国際空港(羽田空港)に採用されている。

「鳥位置検出ソリューション」概要

昨今、鳥が航空機に衝突する「バードストライク」による航空機のトラブルが、空港の高い安全性を確保する上で、大きな課題となっている。NECは空港及びその周辺の鳥位置を検出し、鳥の種別をデータとして蓄積できるソリューションを開発した。

現在、東京国際空港では、バードパトロール員が空港を巡回し、目視で鳥を見つけるたびに防除作業を実施している。本ソリューションの導入により空港及びその周辺を常時監視し、早期に鳥を発見することにより防除作業の効率化を図る。また、目視による鳥の検出が難しい夜間の防除は重要な課題であり、昼夜を通してバードストライク発生の抑制に貢献。さらには、検出データを蓄積し、鳥の動静を把握することで生態等の分析が可能となり、その分析結果から防除対策の検討・実施を支援する。

本ソリューションは、レーダー装置、鳥映像監視装置、データ処理装置、大音響発生装置により構成されている。

レーダー装置は、空港及びその周辺を飛翔する鳥の水平方向の位置を検知する水平レーダーと、高度を把握する垂直レーダーの組合せで空港の全周囲方向の鳥位置を計測し、マイクロ波を利用した高出力パルスレーダーを採用し、昼夜とも一定の検知性能を確保する。

鳥映像監視装置(カメラ)は、レーダー装置の補助装置として、日中、自動的にレーダー装置が検知しにくい地表面を重点的に旋回撮影。自動検出プログラムにより鳥の検知を実現し、自動旋回時は、その撮影画像から自動的に鳥を検出する。手動操作によるズーム確認も可能であり、運用者による鳥の種類判別を支援、記録された検出された鳥画像を元に運用者が鳥の種類を判別し記録することが可能となる。

データ処理装置は、レーダー装置で検知した情報を視覚的・統計的に運用端末に表示し、検知情報をリアルタイム表示、軌跡表示、履歴表示し、鳥の行動や生態などを把握する。鳥種判別情報、駆逐情報を運用端末や可搬型端末から入力することで、生態だけでなく、駆逐作業の効果や、鳥の行動パターンを把握することができ、通年にわたる鳥のデータを採取・分析することにより、防除対策の検討・実施に役立てることが可能となる。

大音響発生装置は、指向性の高い大音量を発生させる装置により、鳥の苦手な音を発し、防除を実施する。