米Appleがオーストラリアのセキュリティ企業Microlatchの買収で合意したとThe Australianが伝えている。Microlatchは指紋認証のバイオメトリクスとスマートカードの技術を組み合わせたソリューションを持っており、先日買収されたAuthenTecと合わせ、今後iOSを中心としたデバイス認証に活用されるのではないかと考えられる。

この件はZDNetなども報じている。ZDNetは指紋認証と合わせ、Appleが将来的にNFC (Near Field Communications)技術をiPhoneに導入する布石だとしており、その動向に期待を寄せている。だが先日Appleに買収されたAuthenTecは指紋センサー技術の会社で、今回のMicrolatchはスマートカード情報を指紋認証でセキュアに保護する技術の会社だ。セキュアチップ(セキュアエレメント)という共通キーワードはあるものの、これが必ずしもNFCに結びつくものではないと考えられる。

NFCのポイントは2つあり、1つはNFCという共通インターフェイスに基づく通信部分。もう1つは、距離限定の非接触通信という特性を利用したセキュア通信とその保護システムにある。つまりNFCのみを搭載しても、セキュアエレメントなしでは個人情報は保護されないため、用途としては非常に限定的となる。可能性としては、iPhoneの本体動作ロック解除時にPINコードの入力ではなく、指紋認証で行うのは当然として、さらに本体に内蔵したICチップ側のロックも指紋認証を使って解除する仕組みが考えられる。インタフェースとしてNFCが搭載されるかは不明だが、少なくともICチップを本体に内蔵して個人情報のストアや何らかの認証に活用することが視野にあるとは思われる。いずれにせよ、同系列の企業2つを続けて買収したことは、先日のiOS 6で初公開されたAppleの地図サービスに通じるものがあり、近い将来のフィードバックが期待される。