日立製作所はこのほど、同社が2007年に開発した省電力ストリーム暗号技術「Enocoro(エノコロ)」が、小型機器向けの暗号に関する国際標準規格であるISO/IEC 29192に採択されたことを発表した。

近年、さまざまな機器に無線通信機能が搭載され、小型機器によるインターネットでの情報通信が一般的になるとともに、インターネットを介した情報漏えいのリスクも増している。そのため、小型機器における安全性の向上として、低コストで実装でき、高い安全性を持つ省電力型の暗号技術が求められている。

このような流れのなかで、国際標準化機構は、ISO/IEC 29192のストリーム暗号に関するパート「ISO/IEC 29192-3」にEnocoroを採択した。ストリーム暗号とは入力データを1ビットずつ暗号化する方式のことで、Enocoroは、2005年にISO/IEC標準として採択された同社のストリーム暗号「MUGI」をベースに安全性向上と消費電力低減が図られている。

同社によると、Enocoroの消費電力は、データ暗号のデファクトスタンダードであるAESの1/10程度で、同等の安全性を持つAES-128に比べて処理速度が2~10倍になるという。同社はEnocoroにより、重要インフラを支える小型制御機器やセンサに対応する基本的なセキュリティ機能が低コストで提供可能になるとしている。