センター試験出願開始! 安定志向をベースに多様化する今どき大学選び

平成25年度の大学入試センター試験の出願期間は2012年10月1日(月)から12日(金)まで

2013年度のセンター試験の出願スタート。本格的な入試シーズンへ向けての助走が始まった。長引く不況の影響等から、安定・内向き志向と言われる近年の受験生。ベネッセコーポレーション高等教育研究所の村山和生氏は、今年も同様の傾向としながらも、大学選びの多様化についても指摘している。そこで同氏に、センター試験の予測データや現場での実感を踏まえ、今どきの大学選びの傾向を分析して頂いた。

理系志向は中高生の頃から始まっている!?

2013年度は久しぶりの18歳人口の増加(対前年でおよそ6万5千人増)により、センター試験の出願者数も増加が予想されている。また学部別では、引き続き理系学部は志願者増、文系学部の志願者はあまり増えないとの予想。近年続く受験生の理系志向について、村山氏は「理系の子ども自体の増加傾向」を指摘する。

理系増、文系減のわかりやすい例は、最近の進学校のクラス編成。かつては文系クラスが半分以上を占める学校がほとんどだったが、現在では文系と理系のクラスが半々、あるいは理系クラスの方が多い学校もあるという。

「高校生の時点で、大学受験を理系に選択するようになったわけではなく、もっと前の段階の中高受験時から理系志向の子どもが増えている。

少し前まで“理系離れ”と言われていたのに何故?と思われるかも知れないが、文系では具体的な就職や資格がすぐには想起しにくいことや、法学部の進学先として期待された法科大学院の司法試験合格率も期待ほどには上がっていないなど、文系進学への不安を煽る要因になっている。

そのため理系の方が将来安定するのではという考え方が、中高受験の段階で芽生え、理系志向の高校生が増えていることが、今の理系人気の一番の要因。この傾向はしばらく続くと予測される」(村山氏)

理系は歯学・薬学、文系は語学・教育が高い人気。不人気なのは社会科学系

■理系の傾向について

村山氏は薬学人気に注目しているという。

「理系の人気が高くなりすぎ、同時にレベルも上がっているため、比較的受験のトライがしやすい薬学部に改めて光が当たったと考えられる」と分析するが、「ただし、薬剤師の供給量はすでに十分になる見込み。資格を取得したからと言って、全員が研究職につけるわけでもない。そういった状況をよく調べたうえで判断してほしい」とも。

また、医者志向の増加に伴い、歯学部の志望者も増えている。天井感のある医学部よりも合格しやすく、具体的な資格もイメージできるという点が高い人気の理由だそう。

■文系の傾向について

「文系も将来の就職を見据えた学部選びの傾向がある」と村山氏。

グローバル人材育成と言われるなかで、語学系統の志望者数が増えており、教育系も安定した人気。一方で、人文系や社会科学系は比較的人気が低くなっている。「特に社会科学系は受験生にとってしばらくはチャンスが広がる学部になると思われる」

今年の受験生はやっぱり安定志向? 地元・自宅・国公立が人気

不況と言われる中、国公立大学は今年も非常に人気が高い。だが注目したいのは、国公立志望者の伸びが都市部よりも地方で顕著であることだ。

「無理に首都圏や近畿圏などに出ず、自分の地元で勉強を進めていきたいという、広い意味での安定志向の表れ」(村山氏)

一方、首都圏や近畿圏では以前にも増して「自宅志向」が顕著に表れている。受験生、あるいは保護者が自宅からアクセスしやすい大学を選ぶ傾向が高まっているのだ。 「かつては郊外に広いキャンパスを持つのが大学のトレンドだったが、今後は立地の良さなど、受験生にとってのアクセスや利便性を重視する流れになると思われる」(村山氏)

とはいえ、秋田の「国際教養大学」や大分の「立命館アジア太平洋大学(APU)」など、地方部にキャンパスを構える学生寮が充実した大学も注目を浴びている。両大学とも“親が行かせたい大学”として全国的に有名だ。

自分の見える範囲で育って欲しいという親もいれば、大学進学をきっかけに自宅とは異なる新たな環境の中で異文化を持った人たちとの密なコミュニケーションを望む親もいる。今どきの親の希望も、一色ではない。

“何を学ぶか”に加え、“どう学べるか”にも注目

「大学を選ぶ視点として、何が学べるかだけでなく、どう学べるかに注目し始めている保護者や受験生が増えていることは、個人的には非常に心強い」と話す村山氏。

例えば、前述の秋田の「国際教養大学」が非常に人気を集めている理由のひとつに、敷地内に併設する「24時間眠らない図書館」がある。24時間365日勉強し続けることができる画期的な学びの場だ。

「これまでのような大教室での一方向的な授業ではなく、プロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL。少人数でグループを組み、様々な課題を、議論などを通じて解決していく課題解決型授業のこと)やグループワーク、アクティブ・ラーニング(学習者が主体的に考えたり議論したり分析、意思決定する能動的学習や参加型授業のこと)などといった学び方を推進している大学を志す受験生も多い。事実、文科省が示した“大学改革実行プラン”の中でも、クリティカル・シンキング……いわゆる論理性や、批判的に資料を読み解く力の重要性が多く語られている」(村山氏)

今後は学問の内容だけでなく、学び方の充実した大学により光が当たっていくだろうと、村山氏は予想する。

「何を学ぶかも大事だが、どう学んでいくかを、受験生や保護者の方には見て欲しい。どのような学び方を提供しているかを含めて志望大学を改めて検討することで、合格後さらに充実した大学生活になるはずだ」(村山氏)

「ぼっち」にならないための大学選び

名の通った総合大学で友達が大勢いて……という大学生活に憧れる人が多かったのは昔のこと。最近は「より少人数」の学び環境が歓迎されると村山氏は言う。

「最近のお子さんの傾向として、大人数の中でひとりになる、いわゆる“ぼっち”と呼ばれる状況を極端に嫌う向きがある。だから大学選びでも、より少人数で名前と顔が一致するような環境で学びたいと、単科大学といった比較的規模が落ち着いた大学を目指す受験生は意外と多い。

それに伴い、かつてのブランド志向……首都圏もしくは近畿圏の伝統がある大学は重視されなくなり、価値観が多様化し始めている」(村山氏)

例えば新生活が始まって間もなく、ネットの掲示板に「この時期になってもぼっちな俺ワロスwwwww」なんて書き込みを見かけることがある。

友達づくりが実は「入学式がスタートではない」ことが背景となっている。例えば、推薦入試で早く合格が決まった学生たちが中心となり、○○大学合格者集まれ!板を立ち上げたり、LINEなどのSNSを使って早々にネットワークを作り上げる。

結果、入学式時にはすでにグループが出来上がっており、輪に入れない学生が出てくるのだ。こういった状況の中、大学側が「ぼっち対策」を講じるケースも出てきているという。

「例えば、入学前教育では、大学合格者に対し、高校履修範囲の補習や復習をおこなう“リメディアル”をおこなう大学もある一方で、いかに友達を作らせるか、いかに居場所を作らせるかを重視するところも出てきている。大学がやることか?という疑問の声もあるようだが、いかに“ぼっち”になるような状況を崩すかが、実はその後の学生の積極的な学びに大きく貢献しているのは事実」(村山氏)

大学選びにおいて、偏差値がひとつの目安であることは間違いなく、より偏差値の高い大学への志向性があることは今も昔も変わっていない。だが、今の傾向として偏差値の次に重要視されるのは、他ならぬ「就職実績」である。キャリアセンターの取り組みや、卒業時にどのようなスキルが身につくのかという点にこだわる人が、今後はより増えていくと村山氏は予想する。

つまり、泣く子も黙る超難関大以外においては、○○大卒という肩書きよりも、将来に直結するより現実的な「学びの効果」が求められているということ。就職安定志向の高校生が多様な大学選びが行っている現在において、受験生も大学も転換期を迎えているのかもしれない。

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