先日、米Verizon Wireless版のiPhone 5がGSMネットワークに対してSIMアンロック(SIMロックフリー)であると紹介したが、AT&T版iPhone 5でも条件さえ満たせばアンロック化が可能であるという。アンロック版iPhone 5を入手したいユーザーにとって、新たな手段が提供された形だ。
同件はTechCrunchなどが報じている。Verizon Wireless版のiPhone 5がGSMアンロックである理由はYoichi Yamashita氏がレポートの中で紹介しているが、Verizon WirelessがLTEサービスに利用している700MHz帯を周波数オークションで同社が入手する際、オープン化がその条件として付与されたことに由来する。ただGSMアンロックとはいえ、現在米国ではキャリアとの2年契約が前提での販売が行われており、日本からの旅行者が現地にいってすぐに入手できるものでもない。だがここにテクニックがあり、キャリアとの契約後すぐに解約し、iPhone本来の本体価格(CNETによれば649ドル)との差額と手数料を払えば2年契約なしですぐに契約フリーの端末が入手できる。
このテクニックの応用で、米AT&T版のiPhone 5でもSIMアンロック端末の入手が可能になる。AT&Tでは今年より、同社で2年の契約期間が満了したiPhone端末を、希望者に対してアンロック化するサービスを提供している。TechCrunchによれば、契約縛り解除の条件さえ満たせばいつでもアンロック化可能とのことで、前述のVerizon Wireless版iPhone 5と同じ要領で端末代の差額を払って強制的に2年縛りを解除してしまうことで、このアンロック化の条件を満たすことができる。ただしアンロック化は店頭では行っておらず、必要フォームを記載してAT&Tに送付するか、同社サポートに電話して解除を申し出る必要がある。数日間の審査の後に(電話すると「5~7日の営業日」といわれるが、だいたい1~2週間程度)、条件を満たしていればその旨の通知がSMSで行われるので、あとはiTunesを使って工場出荷設定へとリセットするだけでいい。これでSIMアンロック化が完了する。
米国のiPhone 5入荷台数は多く、品薄のうちは欧州のアンロック版を入手するよりもこちらのほうが容易だろう。難点としては、Verizon Wireless版がModel A1429のCDMAタイプ、AT&T版がModel A1428であるため、実質的なグローバル版であるModel A1429のGSMタイプではないため、LTE利用が期待できない点が挙げられる。またModel A1428をアンロック化して、例えば米国のT-Mobile USAで利用しようとしても、3G部分での使用帯域の問題により、データ接続がEDGEに限定されてしまう。そのほか、Verizon WirelessやAT&Tでの最初の契約時点で社会保障番号(SSN)が必要となるため、これをもたない日本人旅行者が気軽にこの方法を利用できるのか難しい。