「実用性に乏しい」「間違いだらけ」「イメージが崩れている」と酷評の集中砲火を浴びているiOS 6の「マップ」アプリ。iOS版Google Mapsアプリが待望される中、GoogleのEric Schmidt会長がiOS版Google Mapsアプリの提供について「われわれは、まだ何もしていない」と述べたと25日にReutersが報じた。これには多くのiOS 6ユーザーが落胆したが、その後複数の米国メディアが複数ソースからの情報をもとに、GoogleがiOS版Google Mapsアプリの開発を進めていると報じた。ただし、登場は早くても年末になる。
New York TimesはBitsで「プロジェクトに関わる複数からの情報によると、Googleは年内の完成を目指してiPhoneおよびiPad向けのマップアプリを開発している」としている。リリースに時間を要するのには2つの理由があるという。
1つは新機能の組み込み。iOS 6のマップアプリは、3Dイメージで表示したマップを鳥のような視点で操作できる「Flyover」という機能を備える。同様の機能をGoogleもiOS用Google Mapsアプリで提供するために、Google Earthの機能の統合を進めているそうだ。
もう1つの理由は、AppleがiOS 6で独自のマップアプリに切り替えたことがGoogleにとって寝耳に水の出来事だったためだとしている。Appleが6月にWWDCでiOS 6をプレビューした時に、Googleも初めてAppleの独自マップ採用を知り、それからiOS用Google Mapsアプリ開発を本格的に始動させた。この点については、The Vergeが詳しく報じている。これまでマップサービスのライセンス切れがAppleの独自マップ採用を後押ししたと報じられていたが、実は契約はおよそ1年残っていた。契約切れが近づけば、Googleも様々な可能性に備えていただろうが、今年の6月のタイミングでの大きなシフトはGoogleの予想外だった。「AppleがWWDC直前に下したと思われる決断によって、Googleは緊急体制でiOS用Google Mapsアプリの開発に乗り出したが、まだ不完全な状態であり、出荷には数カ月を要するという点で2つのソースからの情報は一致している」(The Verge)。
AllThingsDのJohn Paczkowski氏は、Appleが独自マップ採用に踏み切った最大の理由として、音声によるターンバイターン方式のナビゲーションを巡る駆け引きを指摘している。Appleはまず、GoogleがAndroid向けに提供しているナビゲーションサービスをiOSのマップでも利用可能にするようにGoogleに要請した。それに対しGoogleは、マップアプリ内でのGoogleブランディングの強化とGoogle Latitude (位置情報サービス)などの採用を要求。交渉は決裂したという。