国立天文台は9月14日、チリ時間の同月13~14日にかけて「ALMA(Atacama Large Millimeter/submillimeter Array:アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)望遠鏡」で行われた、天王星をターゲットとした観測試験の中で、国立天文台製のバンド8受信機と日本製7mアンテナ3台、日本製ACA相関機を使った干渉試験に初めて成功したことを発表した。

アルマ望遠鏡は、複数のアンテナで受信した電波を相関器(高性能コンピュータ)で重ね合わせることで1つの大きな望遠鏡として働かせる、「干渉計」と呼ばれる望遠鏡で、今回は、天王星からの電波を利用して、少ない台数による干渉試験が行われた形だ。

画像1のグラフは、天王星からの電波の位相を表したものだ。3台のアンテナはそれぞれ2台ずつのペアを3つ作ることができる。それぞれのペアの位相を青、赤、緑でプロットしており、すべてを重ね合わせた結果が黒い点だ。黒い点は縦軸中央の0に集まっていることで、アンテナ、受信機、相関器からなる干渉計システムが正常に機能していることがわかるのである。つまり、試験は成功ということだ。

画像1。天王星からの電波の位相を表したグラフ

バンド8受信機は、2012年3月の時点ですでにアンテナ2台での干渉計試験に成功していたが、今回はさらに進んだ内容の試験となっている。今回、アンテナ3台による干渉計試験に成功したことで、最終的に66台で稼働するアルマの本格運用に向けてさらに1歩前進したといえよう。また、バンド4受信機を使った干渉試験も2012年8月に成功している。

なお、画像2は試験成功を記念した集合写真。左から国立天文台助教/合同アルマ観測所シニアRFエンジニアの浅山信一郎氏、国立天文台助教/合同アルマ観測所コミッショニング・サイエンティストの澤田剛士氏、合同アルマ観測所CSVプロジェクト・サイエンティストのStuartt Corder氏、合同アルマ観測所コミッショニング・サイエンティストのSamantha Blair氏、合同アルマ観測所テストサイエンティストのNeil Phillips氏である。

画像2。試験成功を記念した集合写真