STMicroelectronicsは、太陽電池モジュール向けバイパススイッチ「SPV15」ファミリを発表した。

同ファミリは、エネルギーの取得効率を高め、再生可能エネルギーの取得に必要なコストをさらに引き下げることを目的に開発されたもので、バイパス回路を各ソーラーパネルの背面に構築することで、多数のジャンクションボックスや相互接続が不要になるため、設計・設置が簡略化され、各パネルのコストを5%程度低減することができると同社では説明している。

また、高効率なパワースイッチ機能と制御機能を1チップ化しており、太陽電池パネルのホットスポットやパネル面を覆う影などによる様々な影響を補正することが可能。さらに、従来のバイパスダイオードのエネルギー損失を最大1%減らすことができる。これは最大発電量1MWの太陽光発電所の場合、ヨーロッパの平均家庭2軒分の年間総使用電力に相当するという。

加えて、集積されたパワースイッチのリーク電流(オフ時)と電圧降下(オン時)を低減し、すべての動作モードでエネルギー損失を最小限に抑えることが可能なほか、デバイスの温度上昇が抑えられ、製品の信頼性向上および長寿命化につなげることが可能であり、これにより太陽光発電設備の寿命は25年になるという。

「SPV1512/1520」の最大定格電圧は12/20V。順方向電圧降下は100mV、逆方向リーク電流は10μA。過大な電気的ストレスに対する高い耐性、低い動作温度による長寿命化を有する。

なお、パッケージは「SPV1512」が5mm×6mm×0.75mmのVFQFPN。価格は2品種とも、1000個購入時で約2.00ドル。現在、主要顧客向けにサンプル出荷中で、量産は2012年第4四半期に開始する予定。この他、定格電圧(最大120V)を有する製品については、業界標準のD2PAKおよびTO-220ACパッケージに搭載され、2012年末から2013年初旬に発表する計画という。