こんにちは、SMM Labの小川です。

多くの企業がFacebookマーケティングに取り組む今、Facebookで「プロモーションキャンペーン」を開催する企業も多数見られるようになりました。皆さん工夫を凝らし、Facebookならではの特徴を活かしたキャンペーンを実施されていますが、残念ながらFacebookの規約に違反していると見られるキャンペーンも散見されます。

そこで今回は、企業がFacebook上でキャンペーンを開催する際に注意しておくべき点を、典型的な規約違反パターンを例に挙げながらご説明したいと思います。

Facebookには様々な利用規約やポリシーが存在

Facebookは、世界をもっとオープンにし、つながりを強める」というミッションを実現するために、「Facebookの原則」を定めており、さらにこの原則に基づきさまざまな規約やポリシーを用意しています(リンク集は、本ブログの末尾にまとめてあります)。これらは個人だけでなく企業も含めた全てのユーザーを対象としており、規約に違反してしまうとFacebookページが削除されてしまうリスクがあります。企業がFacebookの利用を開始する際には、必ず目を通しておく必要があります。

その中でも、Facebook上でキャンペーン等のプロモーション活動を行う際に、特に注意しておきたいのが、Facebookページ利用規約と、その一部として含まれるプロモーションガイドライン、そしてアプリ開発についての決まりを定めたプラットフォームポリシーです。

どんなキャンペーンがプロモーションガイドラインの規制対象になる?

では、どのようなキャンペーンがプロモーションガイドラインの規制対象になるのでしょうか?その分かれ目は、提供される賞品・インセンティブに「金銭的価値」があるかどうかとなります。プロモーションガイドラインが対象にしている「コンテスト」と「懸賞」の定義は以下です。

・コンテスト

金銭価値のある賞品が用意されており、優勝者がスキルに基づいて(つまり、特定の基準に基づいた審査によって)決定されるプロモーション

・懸賞

金銭価値のある賞品が用意されており、当選者が抽選で選ばれるプロモーション

つまり、金銭的な価値がある賞品が用意されており、それを選考や抽選で獲得できるようなプロモーションを行う場合に以下のような「プロモーションガイドライン」が適用されます。

規約違反 6つの典型パターン

では、ここから先は、ついつい陥りがちな【規約違反】パターンを例に、Facebook規約の内容について確認していきましょう。

【典型パターン1】キャンペーンの応募に「Facebookの機能」のみを利用しており、アプリが導入されていない

プロモーションガイドラインの冒頭にて、

i. Facebook上でのプロモーションは、Facebook.com上のアプリのキャンバスページまたは、Facebookページのアプリ内で運営する必要があります。

と記載されています。つまり、Facebookでキャンペーンを開催する場合には、サードパーティが提供するFacebookアプリを使うか、自分でアプリを作ってそのキャンバスページ上で行わなければなりません。

また、「Facebook機能」を用いた応募については、明確にNGであると記載されています。

iv. Facebook機能をプロモーションの参加または応募手段として使用することはできません。たとえば、Facebookページへの「いいね!」や、スポットへのチェックインにより、自動的にプロモーションに参加または応募するように設定することはできません。

<規約違反例>

・9月1日~9月10日の間に、当Facebookページに「いいね!」をしていただいた方の中から抽選で5名に●●をプレゼント! (Facebook機能であるいいね!ボタンを応募手段に利用しているためNG)

・写真をFacebookページのタイムラインに投稿してください。期間中に写真を投稿してくれた方の中で、一番いいね!を獲得できた方に●●をプレゼント!

(Facebook機能であるタイムラインへの投稿を応募手段にしているためNG)

v. 「いいね!」ボタンなどのFacebook機能をプロモーションの投票手段として使用することはできません。

<規約違反例> ・Facebookページのアルバムの写真の中で、好きなものにいいね!をして投票してくれた方の中から、抽選で5名に●●をプレゼント!

ただし、以下に記載の通り、参加ステップの中にページへの「いいね!」、スポットへのチェックイン、アプリとのつながり(アプリの認証を許可してインストールすること)を条件にすることは可能です。

iii. Facebookページへの「いいね!」や、スポットへのチェックイン、アプリとのつながり以外のFacebook機能を使った何らかの動作を実行することを参加または応募の条件とすることはできません。たとえば、ウォールの投稿に対して「いいね!」する、ウォールにコメントを投稿したり、写真をアップロードする、などの動作を参加または応募の条件とすることはできません。

つまり、ページにいいね!や、スポットへのチェックインをした上で、アプリを通じて応募する形式であれば問題ありません。

ここで注意しておかなければならないのは、「それ以外の機能を使った何らかの動作を実行することを条件にできない」とある点です。例えば以下のような例は規約違反となります。

<規約違反例>

・タイムラインにキャンペーン参加への意気込みを投稿したうえで、アプリを通じてキャンペーンに応募してくれた方の中から抽選でプレゼント! ・Facebookクエスチョンに回答したうえで、アプリを通じてキャンペーンに応募してくれた方の中から抽選でプレゼント!

キャンペーン応募にあたって、例えば参加者からの意気込みを聞きたい、あるいはアンケートを取りたい…といった場合も、Facebookの機能ではなく、あくまでもアプリ内で行わなければなりません。

【典型パターン2】キャンペーンの応募についてはアプリを利用しているが、当選発表はFacebookのメッセージ機能やタイムライン上で発表するとしている

せっかくアプリを用いてキャンペーンを開催しているにも関わらず、当選発表はFacebookのメッセージ機能で行う、あるいはタイムライン上で発表するとしているキャンペーンも散見されます。これも、以下に記載の通り、明らかにNGなパターンです。

vi. Facebookのメッセージ、チャット、プロフィール(タイムライン)またはFacebookページへの投稿など、Facebookを通じて当選者に通知することはできません。

【典型パターン3】キャンペーンの応募から当選発表に至るまでアプリを利用しているが、当選後に「Facebookの機能」を用いないと実施できないことを当選条件としている

これも大変よく目にするパターンです。応募から当選発表まで、きちんと規約を守ってアプリ上で実施しているにもかかわらず、当選後に「Facebook機能」を用いないと実施できないことを当選条件に入れるのは、避けたほうが賢明です。

先にご紹介したプロモーションガイドライン iiiに、「 Facebookページへの「いいね!」や、スポットへのチェックイン、アプリとのつながり以外のFacebook機能を使った何らかの動作を実行することを参加または応募の条件とすることはできません」とあり、当選条件にFacebook機能を利用することもこれに該当する可能性があります。

「参加または応募の条件」と「当選条件」は別だからよいのでは…との意見もありそうですが、「参加または応募する際に、その当選条件に合意したうえで参加または応募することが求められている」と考えれば、この規約に該当するものと考えられます。

<規約違反例>

・当選後は、受け取った賞品の感想を必ずあなたの(あるいはページの)ウォールに書き込んでください!

尚、当選後に、ファンが自発的に自分のウォールやFacebookページのウォールに書き込むことは、もちろん違反にはなりません。

【典型パターン4】キャンペーンがFacebookと関係ないものであることを明記していない

では、「アプリ」を使っていれば全て安心…といくのでしょうか?もちろん、そんなことはありません。

まず、プロモーションガイドラインには、「当キャンペーンがFacebookと関係ないものであること」を表明しなければならないと記載されています。導入するアプリのキャンバスページに、以下のような記載が入っていることが必須条件となります。

ii. Facebook上でのプロモーションには、以下を含める必要があります。

a. 応募者または参加者によるFacebookの免除

b. プロモーションはFacebookが後援、支持、または運営するものではなく、Facebookとは関係がないことの表明。

c. 参加者の情報がFacebookではなく、[情報の受取人]に提供されることの開示。

また、アプリ内のどのような場所であったとしても、Facebookのロゴや商標が入ることは認められません。

【典型パターン5】アプリを通じてキャンペーンに応募すると、自動的にFacebookにシェアされてしまう

そして、「アプリの仕様」そのものが、Facebookの定めるプラットフォームポリシーに違反している場合も考えられます。特に多く目にするパターンが、アプリを通じて応募すると、自動的に(ユーザーに選択肢なく)Facebookにシェアされてしまうというものです。

これは、プラットフォームポリシーの以下の項目に該当します。

IV.アプリケーション統合ポイント

3. ユーザーが公開を許可した場合、ユーザーに代わって実行するアクションはユーザーによって予期されたものでなければならず、アプリ内のユーザーによるアクションと一貫している必要があります。

また、アプリのリリース前に機能や設定を確認するための補足ガイドとしてFacebook社が提供している「プラットフォームポリシーとプロモーションチェックリスト」にも以下の通り記載されています。

ユーザーにかわってニュースフィード記事を自動的に公開せず、ユーザーのコンテンツが共有されることを明確に説明したうえで、ボタンをクリックするか、ボックスにチェックを入れるオプションを提供することにより、ユーザーの同意を得る必要があります。

尚、アプリを通じてキャンペーンに応募する際に、「Facebookにシェアして応募する」というボタンしかなく、「結局シェアをしないと応募が完了しない」仕様にすることも避けたほうが賢明です。これは、先にご紹介したプロモーションガイドライン iii「 Facebookページへの「いいね!」や、スポットへのチェックイン、アプリとのつながり以外のFacebook機能を使った何らかの動作を実行することを参加または応募の条件とすることはできません」に該当する可能性があります。

【典型パターン6】アプリを通じて「シェア」する際の文言がプリセットされている

「アプリを通じて「シェア」する際の文言が、予めアプリ側によって設定されていること」も規約違反になります。これは、プラットフォームポリシーの以下の項目に該当します。

IV.アプリケーション統合ポイント

2. 次の製品に関連付けられているフィールドを事前入力してはなりません(ユーザーによりあらかじめ手動で生成されたコンテンツは除く):ニュースフィード記事(Facebook.streamPublishおよびFB.Connect.streamPublishのuser_messageパラメータ、stream.publishのmessageパラメータ)、写真(キャプション)、動画(説明)、ノート(タイトルとコンテンツ)、リンク(コメント)、Jabber/XMPP。

「プラットフォームポリシーとプロモーションチェックリスト」にも以下の通り記載されています。

ニュースフィード記事または写真キャプションのuser_messageパラメータのセクションを事前入力することはできません(ユーザーによりあらかじめ手動で生成されたコンテンツは除きます)。

<規約違反例>

・キャンペーンに参加したら、「●●キャンペーンに参加しました!」というコメント付でシェアされてしまった。

・診断アプリの結果が、シェアする際の「コメント欄」に予めセットされていた。(ユーザーがコメントを編集できてもNG)

以上が、直近のキャンペーンに見られる典型的な規約違反のパターンですが、これ以外にも様々な個別パターンが存在するでしょう。その際には、常に「Facebookの規約」に立ち戻り、一つ一つ確認することが大切です。また、Facebook社からは、個別のパターンについて、以下でご紹介するリンクの内容以上の公式見解は発表されていません。ですので、明らかな規約違反以外は、個別の解釈の問題になってくる部分もあります。どのように解釈するかについては意見が分かれるところではありますが、ページ削除などのリスクを考えると、できるだけ慎重に解釈しておくほうがよいと考えられます。

また、Facebookでキャンペーンを開催する際は、既に多くの企業への導入実績があるキャンペーン用の汎用アプリの利用をお勧めします(例:モニプラファンアプリ等)。アプリを自社開発する際にも、既にノウハウを積んでいる開発会社等に頼む方が賢明です。

Facebook規約関連リンク集

最後に、Facebookの規約関連にアクセスできるリンク集をまとめておきます。ぜひ、全て一度は目を通されることをお奨めします。

・Facebook利用規約(リンク集)

https://www.facebook.com/policies/

Facebook利用規約に関する必要な情報を全て確認できるページです。

・Facebookページ利用規約

https://www.facebook.com/page_guidelines.php

Facebookページを開設、運用するに当たって守らなければならないルールを定めたものです。Facebookページを開設したら、まず初めに確認をする必要があります。

・プロモーションガイドライン

https://www.facebook.com/page_guidelines.php#promotionsguidelines

Facebookページ利用規約内で、特に「Facebook上で行うプロモーション活動」について定めた個所のことです。Facebook上で金銭的な価値を伴う賞品・インセンティブを用意した懸賞やコンテストを行う場合は必ず確認の必要があります。

・利用規約

https://www.facebook.com/terms.php

ユーザーに対するFacebookの責任と、Facebookのサービスを利用する際のユーザーの責任について説明するものです。Facebookのプライバシーに関する考え方や、コンテンツと情報の共有について等、根本的な指標となるルールが記されています。

・ブランド情報センター

https://www.facebook.com/brandpermissions/index.php

Facebookについて言及する際、テキストでの表記は「F」が大文字であること、Facebookとの関連やパートナーシップ、Facebookによる承認や後援支持を暗示するような方法で名称を使用することは出来ないこと、Facebookロゴの使用は概して認められないことなど、Facebookロゴや商標の使用に関するガイドラインが説明されています。

・データの使用に関するポリシー

https://www.facebook.com/about/privacy/

ユーザーがFacebookを利用する際にFacebookが受け取る情報についての透明性を高めるため、Facebookの運営、広告、ユーザーのセキュリティ保護の促進目的などでデータをどのように使用しているかという情報が記されています。

・プラットフォームポリシー

https://developers.facebook.com/policy/Japanese/

誰もが安心して情報を共有できる、オープンでつながりのある世界を実現するためのプラットフォームであるFacebookでアプリを開発するために守るべきポリシーとして、Facebookで開発を行う際に守るべき点や注意すべき事項が記載されています。開発者は優れたユーザー体験を創出し、信頼を得られるように努める必要があるとされています。

・プラットフォームポリシーとプロモーションチェックリスト

https://developers.facebook.com/docs/guides/policy/policy_checklist/Japanese/

アプリのリリース前に機能や設定を確認するための補足ガイド。Facebookプラットフォームポリシーまたはプロモーションガイドラインを完全に網羅したものではないことに注意しなくていはいけません。

・広告ガイドライン

https://www.facebook.com/ad_guidelines.php

広告ガイドラインには、Facebook上で広告を行う際のガイドラインが表記されています。広告コンテンツの基準、コミュニティ規定、その他の適用条件が示されており、特に広告主が、広告がすべての準拠法、規定、ガイドラインを満たしていることに責任を負うことが明記されています。

以上、今回はFacebookキャンペーンで陥りがちな【規約違反】6つの典型パターンをご紹介しました。Facebookでキャンペーンを開催する際には十分注意してください。

関連記事

ビジネス用Facebookページを始める前に必ず確認しておきたい!Facebookに特有な3つのこと

【実例データ検証!】150件以上のFacebookキャンペーンから分かった!目的とステージに合わせた実施ポイント

[2012年8月第4週]話題のソーシャルメディアキャンペーン事例まとめ《キリン、ジーユー、日清食品など9選》