ロームは9月6日、スマートフォンやデジタルスチルカメラ(DSC)など小型・薄型が求められる電子機器向けに世界最小クラスのトランジスタパッケージ「VML0806」の量産を開始すると発表した。

近年、スマートフォンをはじめとする携帯機器市場では、セットの小型化・高機能化が進められており、搭載する電子部品に対しても常に小型化、薄型化が要求されている。しかし、従来のトランジスタパッケージでは、搭載素子の小型化やボンディングの安定性、パッケージの加工精度の他、実装面での技術的な課題などもあり、1006サイズ(1.0mm×0.6mm×0.37mm)が限界とされてきた。

今回、これまでの小型素子の開発ノウハウや高精度パッケージ加工技術の活用などにより、世界最小クラスとなる0.8mm×0.6mm×0.36mmのトランジスタパッケージ「VML0806」を開発した。さらに、実装性が高まるように外形寸法および外部端子寸法を最適化することで量産化も実現した。新パッケージは、まず小信号MOSFETへ展開する計画で、基本性能を維持したまま、従来の小信号トランジスタの最小サイズ1212パッケージ(1.2mm×1.2mm×0.50mm)に比べ、実装面積を67%低減し、28%の低背化を実現する。今後、バイポーラトランジスタやデジタルトランジスタなど幅広い回路用途に展開する予定で、あらゆるセットでの省スペース化、高密度化に寄与するとしている。

なお、すでにサンプル出荷中でサンプル価格は80円。7月から月産6000万個の体制で量産を開始しており、今後、需要の拡大に合わせて生産体制をさらに増強する予定としている。

世界最小サイズとなる0.8×0.6×0.36mmのトランジスタパッケージ「VML0806」と0.5mmのシャープペンシル芯との比較