米PasS(Platform as a Service)ベンダーのEngine Yardは、日本法人である「株式会社 Engine Yard」を設立し、9月4日から本格的にサービスを開始すると発表した。

Engine Yardは、アプリケーション開発者向けに、アプリケーションのデプロイ、管理およびスケーリングの制御を実現する開発プラットフォームを提供することを目的に、2006年に米国で設立された。現在、世界58カ国で数千社を超える顧客を持ち、2011年度には、過去最高の総収益2,800万USドルをあげている。現在、Ruby on Rails、PHP、Node.jsをサポートする。

Engine Yardの概要

日本法人は、PaaSを用いたビジネス開発、マーケティング、日本語でのサポートを提供し、Web直販のみならず、国内のSI企業やIaaSベンダーとのパートナーシップによる間接販売も行い、2013年末までに各種業界の新規顧客200社獲得を目指すという。

日本市場においては、Engine Yardの主力製品であるEngine Yard CloudとEngine Yard Managedの2つの製品にフォーカスを当てて展開。

Engine Yard Cloudは、開発済のアプリケーションをデプロイするための、Webページを通したセルフサービス形式のプラットフォーム製品。1つのスモールインスタンスで構成した場合、1時間当たり9円(月額およそ6,480円)で提供する。

日本市場においてはEngine Yardの主力製品

一方、Engine Yard Managedは、大規模なスケーリングが可能なプラットフォーム製品で、特殊なハードウェア要件にも対応する。価格、構成は個別見積もり。

米Engine Yard CEO ジョン・ディロン氏

初代Salesforce.comのCEOも務めた米Engine Yard CEO ジョン・ディロン(John Dillon)氏によれば、同社の顧客はベンチャー系のスタートアップ企業が多く、8割近くが南北アメリカ大陸だという。アジア太平洋の顧客は4%程度にとどまるが、ここ数カ月の新規顧客の14%がアジア太平洋地域で、伸びが大きくなっているという。

ジョン・ディロン氏は「日本をべースにアジア太平洋地域をサポートしていきたい」と語る。

顧客比率

同氏は同社のPaaSサービスの差別化ポイントとして「信頼性」を挙げ、具体的には、マルチリージョンフェイルオーバー、データベースのクラスタリングとレプリケーション、マルチリージョンバックアップを行っている点を挙げた。また、他社がマルチテナント方式を採用しているのに対し、同社が仮想化によるシングルテナント方式を採用している点も信頼性向上に貢献しているという。

SLAはレベルによって金額が異なるが、99.9%や99.99%を選択する企業が多いという。

株式会社Engine Yard 代表取締役社長 ティモシー・ロメロ氏

日本での販売戦略について株式会社Engine Yard 代表取締役社長 ティモシー・ロメロ(Timothy Romero)氏は、初期フェーズはインターネット直販にフォーカスし、ベンチャーコミュニティー/アプリケーションコミュニティーへの支援を実施し、Webアプリケーション開発者とのパートナーシップを構築するとした。

そして、一層のSI企業とのパートナーシップを拡大し、2013年からプライベートクラウドへのビジネス展開を行うという。