青ジソを食べれば老化を防げる!? - 京大らが新たな抗酸化成分を検出

 

京都大学は8月6日、セラバリューズ、医薬基盤研究所、同志社大学生命医科学研究科、同志社女子大学薬学部、名古屋大学創薬科学研究科との共同研究により、6種類の果汁及び6種類の野菜から酸化ストレスの抑制に有効な成分を探索した結果、青ジソから新規有効成分「2',3'-dihydroxy-4',6'-dimethoxychalcone(DDC)」を見出し、細胞において顕著な抗酸化効果が得られることを確認したと発表した。

成果は、京大薬学研究科の久米利明准教授、同泉安彦助教、同赤池昭紀客員教授、京大農学研究科の入江一浩教授らの研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、8月15日付けで米国科学雑誌「Free Radical Biology & Medicine」に掲載される予定だ。

地球上の多くの生物は呼吸をすることで体内に酸素を取り入れ、それを利用することで生命を維持するが、その内の一部が不安定でさまざまな物質と反応しやすい活性酸素種に変化してしまう。

体内では活性酸素種を消去・軽減するための仕組みが働いているが、活性酸素種が大量に発生してそのバランスが崩れると生体内分子を攻撃してしまう酸化ストレスという状態になる。

活性酸素種により攻撃を受けた生体内分子は酸化されてしまい、多くの場合、その機能が損なわれてしまう。従って、過度な酸化ストレスの抑制は健康な生命活動の維持に重要だ。

生体を酸化ストレスから防御するには、活性酸素種と直接反応し、除去できるビタミンC・Eやポリフェノールなどの抗酸化物質を大量に摂取する方法と生体内の抗酸化酵素の発現を上昇させる方法が挙げられる。ただし、抗酸化物質の生体内濃度を高く維持するのはなかなか困難だ。

ちなみに、抗酸化酵素を発現誘導する生体内抗酸化システムとして、「Nrf2-ARE経路」が知られている。転写因子である「Nrf2」は通常「Keap1」と結合し細胞質に留められているが、生体が酸化ストレスにさらされると核内に移行し遺伝子の上流に存在する「ARE配列」に結合することで、「グルタチオンペルオキシダーゼ」、「ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)」、「カタラーゼ」などの抗酸化酵素や「NAD(P)Hキノンオキシドレダクターゼ1(NQO1)」などの「第二相薬物代謝酵素」の発現を誘導する。

そして、このNrf2-ARE経路を低分子量化合物で活性化できれば、生体は酸化ストレスに対して抵抗性を獲得した状態を維持できると考えられるというわけだ。

近年の研究から、老化や発がん、メタボリックシンドローム、動脈硬化、心筋梗塞、アルツハイマー病やパーキンソン病などさまざまな疾患の病態形成の一因として、酸化ストレスが関与すると考えられるようになってきた。

さらに疫学調査から、果物や野菜の摂取はこれらの疾患を予防する効果が期待できることが示唆されている。今回、研究グループは、身近な食品に着目し、生体内抗酸化機能の亢進に有効な新規成分の探索及びその機能解析を行うことを目的として研究が進められた。

果汁サンプルとしてピーチ、りんご、ストロベリー、クランベリー、ラズベリー、温州みかんを、野菜サンプルとして青ジソ、モロヘイヤ、春菊、セロリ、パセリ、赤ジソを用いて、Nrf2-ARE経路の活性化作用を有する化合物を探索。

これらの果汁・野菜サンプルを「ジエチルエーテル」により抽出し、Nrf2-ARE経路の活性化作用を検討したところ、青ジソ抽出物が強力なARE活性の上昇を誘導した(画像1)。

画像1。果物・野菜抽出物のNrf2-ARE経路活性化作用。青ジソ抽出物によりNrf2-ARE経路が活性化されるのが確かめられた

青ジソ抽出物中の活性成分を「逆相HPLC」により単離・精製した後に、核磁気共鳴(NMR)や質量分析(MS)による構造解析を実施。すると、活性成分の構造が2DDCであることが推定された。そして、化学合成したDDCはARE活性化を誘導し、Nrf2-ARE経路により制御される抗酸化タンパク質が増加したのである。

以上の結果から、青ジソ中にNrf2-ARE経路の活性化作用を有するDDCが含まれることが発見された(画像2)。DDCは、熱帯に生息するバンレイシ科の植物の葉よりすでに発見されていたが、青ジソのような身近な食品に含まれることは報告されておらず、またその薬理作用に関する検討は今回が初めてだ。

画像2。青ジソより見出されたNrf2-ARE経路活性化物質。2',3'-dihydroxy-4',6'-dimethoxychalcone(DDC)の化学構造式

さらに、酸化ストレスに対するDDCの有効性を評価するために、酸化ストレスを引き起こす細胞毒「6-ヒドロキシドパミン(6-OHDA)」を用いて、機能解析が行われた。結果、DDCをあらかじめ処置しておいた細胞は、6-OHDAによる毒性に対し顕著な保護作用を示すことが確認されたのである。また、6-OHDAにより増大した細胞内活性酸素量は、DDCにより抑制されることも判明した(画像3)。

画像3。細胞内活性酸素種の定量。6-OHDAは活性酸素種(緑)を増加させるが、DDCをあらかじめ処置することにより抑制されるのが確かめられた。

画像4。今回の研究成果の概念図

これらの結果より、青ジソエーテル抽出物にNrf2-ARE経路を活性化する成分としてDDCが含まれ、DDCは酸化ストレスに対して細胞保護作用を示すことが明らかになった。

今後、動物レベルでの実験が必要となるが、DDCは、メタボリックシンドローム、神経変性疾患などの酸化ストレスが関わる疾患や老化に対する予防薬としての利用が期待されると、研究グループはコメントしている。



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