ノークリサーチは7月30日、2012年の国内中堅・中小市場におけるサーバ環境の実態と展望に関する調査の結果を発表した。同調査では、年商で分けて、サーバの用途、ベンダー名、形状などをまとめている。

調査は、2012年1月から2月にかけて、日本全国の全業種年商5億円以上から500億円未満の中堅・中小企業および年商500億円以上の大企業の企業経営もしくはITインフラの導入/選定/運用作業に関わる社員に対し実施し、有効回答1,000件を分析したもの。

年商5億円以上から50億円未満の企業における用途は、「基幹系業務システム」が最も多かったが、「部門内利用」と「データベース利用」の割合が2011年から2012年にかけて増加している結果となった。

導入済サーバの用途(年商5億円以上~50億円未満の企業) 資料:ノークリサーチ

「部門内利用」でNECのスリムタワー型サーバが大きな伸びを示した要因にはオフィス以外の設置場所が拡大(製造工場/倉庫/商業施設)があり、「データベース用途」でデルが伸びを示した要因にはSQL Server2008に関連したソリューションや同社が持つ価格優位性のデータベース用途への波及などがあるという。

導入済サーバのベンダ名(年商5億円以上~50億円未満企業) 資料:ノークリサーチ

年商50億円以上から100億円未満の企業では「既存PCサーバのアップグレード」を導入経緯とするタワーやブレードの導入増加が目立つ。ユーザー企業におけるサーバ仮想化への関心の高まりに加え、サーバベンダ各社によるVMware vSphereやHyper-Vのインストール済みモデルの拡充が背景にあるという。

導入済みのサーバのベンダーのシェアは、上から、日本ヒューレット・パッカード(26.3%)、富士通(21.3%)、日本アイ・ビー・エム(17.5%)となった。

導入済サーバの形状(年商50億円以上~100億円未満) 資料:ノークリサーチ

同社は今後、中堅・中小企業でもデータセンターへのシフトが進んでいくと見て、年商100億円以上から300億円未満の企業に対し、て「サーバ管理の課題」を尋ねた。その結果、「サーバの負荷増大」や「サーバの耐用年数超過や保守期間切れ」といった課題が多く挙げられ、同社は、データセンターへの移行において「高度な稼働/障害の監視やサーバ資産管理をリモートで手軽に行える仕組み」が求められるとしている。

同社はこうしたニーズに対応する製品として、日本HPの「HP Proliant Server/Generation8」を挙げ、販社/SIerに大幅なコスト削減効果や新たな収益機会をもたらす可能性があるとコメントしている。

導入済サーバの設置形態(年商100億円以上~300億円未満) 資料:ノークリサーチ

年商300億円以上から500億円未満の企業に対しては、「重要度の高い用途のサーバを最大3つまで挙げてもらい、それらのサーバの購入先を尋ねる」という調査が行われた。2011年から2012年の変化を見ると、「ベンダから直接購入(ベンダ側営業を介しての購入)」が減り、「ベンダの直販(Webサイトからの購入)」が増えていることがわかった。

購入先の内訳として、「独立系でハードウェア販売が主体の販社、SIer」では2011年から2012年にかけて比率は減少したものの、日本HPが最も多く、富士通が増加している。「独立系でシステム開発が主体のSIer、ソフトウェアベンダ」では、富士通が2011年から2012年にかけて比較的増えている。

これらの要因としては、日本HPは全国各地で実機展示も交えた製品の紹介や説明を行う「パートナーロードショー」を展開するなど、以前からパートナへの情報提供に注力していること、富士通はパートナーが開発した業務アプリケーションと富士通製のプラットフォームを組み合わせた「TRIOLEテンプレート」を提供するなど、業務アプリケーションも含めた販社/SIerへの支援が挙げられている。

導入済サーバのベンダ名(年商300億円以上~500億円未満) 資料:ノークリサーチ