東京商工リサーチは23日、国内410金融機関に対して実施した「中小企業金融円滑化法」に基づく返済猶予の実績調査の結果を発表した。

同調査は、国内410金融機関(大手8行、地方銀行64行、第二地銀42行、信託銀行8行、政府系金融9行、ネット銀行他9行、信用金庫270金庫)を対象に、2009年12月の法律施行から2012年3月末までの中小企業金融円滑化法に基づく条件変更の実績をまとめたもの。

それによると、2012年3月末時点における返済猶予の申込件数は357万5,906件(金額92兆8,592億5,500万円)となった。このうち、住宅ローンを除く中小企業向け申込件数は327万5,268件(同88兆3,751億5,100万円)、実行件数は302万2,673件(実行率92.2%)、実行金額は82兆3,022億9,600万円(同93.1%)。2011年9月末と比較すると、実行率は件数で0.5ポイント、金額で0.2ポイント上昇している。

謝絶(3カ月以上経過のみなし謝絶含む)は7万6,392件(金額2兆25億4,000万円)で、申込件数の2.3%にとどまっている。一方、審査中は7万6,700件(同2兆1,826億1,600万円)、債務者の意思による申込撤回や倒産などによる「取下げ」は9万9,503件(同1兆8,871億9,200万円)だった。

同社は、中小企業等の申込件数327万5,268件に対して、1社が3行に平均2.5回(口)の条件変更等を申し込んだと仮定し、43万6,702社が申請したと算出。これは、普通法人260万836社(国税庁2010年度普通法人数)と個人事業者の消費税の納税申告件数132万8,409社(2010年度)の合計392万9,245社のうち、11.1%が申し込んだことになるという。

また、この試算に基づいた申込社数と企業数の比率を見た場合、最も高かったのは富山県で申込率は24.6%に上った。次いで、岐阜県が22.6%、東京都が20.2%、静岡県が17.6%、京都府が16.1%と続いたほか、47都道府県のうち、21都府県が10%以上となったことが分かった。

中小企業等申込割合

地区別の申込率では、北陸が17.7%で最多。以下、関東13.2%、中部12.9%、四国11.6%、中国11.3%となった。それに対して、近畿8.8%、東北8.6%、九州6.2%、北海道5.4%は1桁台で、地域間格差が広がっている状況が明らかになった。

申込件数の実行率を地区別に見ると、トップは中部で93.6%(実行件数49万1,297件)。一方、地区別の謝絶率は九州が3.5%で最高だった。

同法の施行以降、企業倒産は抑制されていたが、2011年度下半期(10月-2012年3月)に入ると倒産件数が増えており、「自立的な業績回復ができないまま政策支援で下支えされた中小企業の息切れと政策効果の一巡の兆しも出てきた」と同社は指摘している。

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