米Microsoftは7月16日(現地時間)、米サンフランシスコで特別イベントを開催し、次期「Office」(開発コード名: Office 15)のカスタマープレビューの提供を発表した。日本国内の特設サイトでは個人向けクライアント製品の「Office Professional 2013プレビュー」が用意されているが、米国の特設サイトで公開されているカスタマープレビュー・スイートは「Office 365 Home Premium Preview」「Office 365 Small Business Premium Preview」「Office 365 ProPlus Preview」「Office 365 Enterprise Preview」の4つ。イベントで同社はクラウド対応およびOffice 365を進化させたサブスクリプション・モデルを強くアピールし、プレスリリースで次期Officeを「the new Microsoft Office」と呼ぶなど、Officeの変化を印象づけた。

カスタマープレビュー版の対応環境はWindows 7とWindows 8だが、新しいOfficeにはWidows 8の利用体験をサポートする機能や、Windows 8向けの機能が数多く含まれる。スワイプやピンチなどタッチ操作でドキュメントをナビゲートし、スタイラスを使ってメモを取ったり、コンテンツを編集するなど、キーボード/マウス、タッチスクリーン、ペンのいずれでも自然に操作できるようになっている。OneNoteとLyncは、Metro UI対応版のアプリケーションも用意されている。例えばMetroスタイルのOneNoteでは、ラジアルメニューという円盤形のメニューでタッチを使ってすばやく機能を選択できる。またARMデバイス向けのWindows RTには「Office Home and Student 2013 RT」として、新しいWord、Excel、PowerPoint、OneNoteが含まれる。

タッチ操作ですばやく目的の操作を選択できるラジアルメニュー

コンテンツの閲覧に集中できるWordのReadモード

People Card

ソーシャル機能も強化点の一つだ。People Cardを通じて、Office全体で同じようにコンタクトが表示される。同カードにはFacebookとLinkedInからの写真、ステータスアップデート、コンタクト情報、アクティビティフィードも含まれる。またSkypeがOfficeとともに提供される。LyncにもSkypeのコンタクトが統合され、Skypeユーザーとの通話やメッセージングが可能になる。ビジネス向けにはSharePointによるコラボレーションやドキュメント管理のほか、Microsoftが買収したYammerのソーシャルネットワーキングサービスをSharePointおよびMicrosoft Dynamicsに統合する。

新しいOfficeはクラウドサービスと連携する。ドキュメントは標準でSkyDriveに保存され、同じアカウントのPCやタブレット、スマートフォンで共有できる。Officeにサインインすると、最近使用したファイル、テンプレート、カスタム辞書など個人設定が対応デバイスに同期(ローミング)される。

サブスクリプション契約者向けに「Office on Demand」というクラウド機能を提供する。OfficeをインストールしていないWindows PCに、インターネットを通じてフル機能版のOfficeをストリーミングして一時的に使用できるようにする。

サブスクリプションは最大5台のデバイスで使用可能

新しいOfficeの製品ラインナップと価格は今年秋に発表されるが、イベントではMicrosoft CEOのSteve Ballmer氏が、Office 365 Home Premium、Office 365 Small Business Premium、Office 365 ProPlusの3つのサブスクリプションサービスの概要を紹介した。

サブスクリプション契約者は、最大5台のデバイス(PC、Mac、モバイルデバイス)でOfficeを使用できる。2013年版のOfficeアプリケーション(Word、Excel、PowerPoint、OneNote、Outlook、Publisher、Accessなど)が提供され、契約にはアプリケーションのバージョンアップグレードの権利も含まれる。

Office 365 Home Premiumはコンシューマやホームユーザー向けの構成で、サービスにはSkyDriveの20GBの追加ストレージ、60分/月のSkype海外通話が含まれる。

Office 365 Small Business Premiumはスモールビジネス向けのパッケージで、ビジネス品質のメールや共有カレンダー、Webサイト作成ツール、オンラインミーティング機能(HD品質のビデオカンファレンス/スクリーン共有/リアルタイムノート)などを備える。

Office 365 ProPlusは企業顧客向けで、グループポリシー管理ツール、モニタリング用のテレメトリーツール、企業向けセキュリティ、データ分析機能など高度なビジネス機能を提供する。