東北大学は、同大大学院医学系研究科附属創生応用医学研究センターの阿部俊明教授(細胞治療分野)らの研究チームが発明した持続性ドラッグデリバリシステム(DDS)のデバイスを利用して、アールテック・ウエノの化合物であるイソプロピルウノプロストン(ウノプロストン)のDDSを開発することを目的に、両者にて共同研究を開始することを発表した。

網膜は一度障害されると再生が難しいため、薬物投与による予防的治療が行われている。現在の方法としては眼に注射をしたり、インプラントを入れて眼内に直接投与する方法が行われているが、眼の最深部にある網膜に薬を届けることは容易ではなく、手術に伴う感染症や副作用の危険性が高く、患者への身体的負担が大きいことが課題となっていた。

阿部教授らの研究グループは、眼内(硝子体内)ではなく眼外の強膜(白目)から薬物を網膜に届けるDDSの開発を行ってきており、2010年に強膜側移植による硝子体手術を必要としない低侵襲的な経強膜DDSを開発している。

今回の共同研究は、この持続性DDSを用いてアールテック・ウエノが開発中の網膜色素変性治療薬「UF-021(ウノプロストン)点眼液(1回2滴、1日2回)」を、持続投与可能にしようというもの。

この研究を通じて、網膜色素変性の中でもが困難な患者に対して、ウノプロストンでの治療が可能になることが期待される。また、ウノプロストンは、現在治療法の無い萎縮型加齢黄斑変性の治療薬として適応を拡大することも期待できるとのことで、東北大では将来的に同製剤のヒトでの有効性の確認を目指し、アールテック・ウエノの研究チームとともに共同研究を進めていく予定としている。