シロアリをはじめとした害虫の防除サービスを提供するアサンテは6月26日、2006年8月から開発を進めてきた「シロアリ防除ロボット」の4代目となる「ミルボIV」(愛称「お助けロボ ミルボIV」)が完成したことを発表した。完成そのものは2012年の3月だ。

ミルボIVは、床下に入って実際に点検する「床下ロボット」(画像1・2)と、それを操縦する「コントロールボックス」(画像3・4)で構成される。

画像1。ミルボIVの床下ロボット。4輪すべてが独立駆動になっており、凹凸のある地面でも安定した走行を可能にした

画像2。ミルボIVを別角度から

画像3。床下ロボットの操縦装置コントロールボックス

画像4。床下ロボットからのカメラ映像。かなりくっきり見える

ミルボIVの主な改良点と特長は、本体の車高を現行のミルボIIIより5cm低くして15cmとし、さらに狭い場所での作業を可能にしたことがまず1つ。また、4輪すべてが独立駆動するようにし、車輪1つが浮いていても走行が可能になるよう機動力を高めたこと。

操縦性のしやすさの面でも強化され、高性能な小型ハイビジョン・チルトカメラと照度を高めたライトを搭載した。鮮明な高解像度の映像をコントロールボックスのモニターやテレビに送出できるようになっている。

さらに、操作者が床下ロボットの向きや状態を把握できるよう小型ジャイロ(方位角)センサを搭載。ほかに温度センサや湿度センサなど5つまでセンサを搭載することが可能だ。

また、薬剤散布用チューブに電源ケーブルと映像ケーブルを一体化した複合ケーブルが開発され、その点でも操作性の向上が実現している。

同社のシロアリ防除ロボット開発の取り組みは、経済産業省「サービスロボット市場創出支援事業」(2006~2008年)による開発費支援のもと、レスキューロボット研究の1人者である大阪府立大学工業高等専門学校の土井智晴准教授や機器メーカーなどでプロジェクトチームを編成してスタートした(画像5)。現在もその成果を引き継ぎ、実用化を目指してミルボシリーズの改良が続けられているというわけだ。

画像5。左上が2007年3月発表の「初代ミルボ」、右上が同年10月の「ミルボII」、左下が2008年2月の「ミルボIII」、そして右下がミルボIV

なお、ミルボIVのスペックは以下の通り。

  • 床下ロボット:幅30cm×奥行48cm×高さ15cm、重量15kg
  • コントロールボックス:幅50cm×奥行50cm×高さ50cm、重量15kg