女優で小説家のうえむらちかが、23日、東京・福家書店新宿サブナード店で、小説『灯籠』の出版記念サイン会を行った。

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2010年にオムニバス小説『ヤヌス』(講談社Birth刊)で、小説家デビューを果たしたうえむらの最新作『灯籠』(ハヤカワ文庫JA刊)は、両親を事故で亡くした孤独な少女・灯と墓参りで出会った青年・正造のひと夏の交流を描いた物語で、自身の故郷である広島県安芸地方が舞台。うえむらは、同作のモチーフになっている"盆灯籠"を片手に登場し「本当はもっと大きいんですけど、自分で作ってみました。お盆の時期にお墓に立てるんですが、お花畑みたいになって本当にきれい」と笑顔を見せ、「"盆灯籠"を風化させたくないと思って、地元・広島の景色を中心に書きました」と同作をアピールした。

執筆は4カ月ほどかかったそうで「前回はオムニバス形式だったのでやりやすかったけど、今回は長編だったので直しが多くて……」と振り返り、「子守唄を引用するところは、(編集者と)対立してしまいました」と苦労があった様子。また、同作の帯推薦文を、映画監督の大林宣彦氏が書き下ろしているが「広島出身なので特別な方。絶対引き受けてくれないと思ってたので、すごくうれしかった。私の小説より、帯を見て買ってほしいくらい」と感激し、「今度は怖い話とか、マザーグースをテーマにしたオムニバス形式の恋愛ものを書いてみたい」と次回作への創作意欲も膨らませていた。