富士通研究所は、GaN-HEMTを用いて、10GHz帯で、6.3W出力の送受信1チップ集積回路を開発したことを発表した。同成果は、6月17日からカナダ モントリオールで開催されるマイクロ波の国際学会「IEEE MTT 2012 International Microwave Symposium(IMS2012)」にて発表される。
従来、高出力な送信信号と微弱な受信信号を1チップ上で同時に扱う場合には、送受信号を効率よく切り替えることと、送信信号が受信信号に与える影響を低減することが必要とされていたが、これらを両立することは技術的に困難であった。
今回、2つの技術を開発することで、GaN-HEMTを用いて、10GHz帯で高出力かつ小型送受信チップを実現した。
1つ目は、GaN-HEMTを用いた小型送受切替器の開発。チップサイズ1.8mm×2.4mmながら、0~12GHzで伝送損失1.1dBの性能を達成。これにより、従来の磁性体を用いた送受切替器比で1/10以下の小型軽量化を可能とした。
2つ目は、高出力の回路集積化設計技術の開発。具体的には、トランジスタの周りに接地ビアホールを配置し不要な信号放射をシールドするとともに、電磁波の3次元解析により信号配線・回路を適切な位置に配置することで、不要な信号干渉を抑制することに成功した。これにより、大きな出力を有する回路を発振などの誤動作を起こすことなく安定に動作させることが可能となった。
これらの技術を用いて、送受切替器、送信増幅器、受信増幅器を集積した送受信1チップの集積回路を試作したところ、10GHz帯で出力6.3Wを実現しつつ、チップサイズを3.6mm×3.3mmと従来の複数チップを用いた場合に比べ1/10以下に小型化することに成功した。
なお、富士通研では今後、今回開発した技術を、高出力で小型化が要求されるワイヤレス機器やレーダーなどに幅広く適用していく予定としている。
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