ムーディーズ・インベスターズ・サービスは13日、スペイン国債格付を「A3」から「Baa3」に引き下げ、さらなる引き下げ方向で見直しの対象とした。ムーディーズは、3 カ月以内に見直しの結論を出す予定としている。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスによると、スペイン王国の格下げの決定は、次の要因を反映している。

(1)スペイン政府は、自国の銀行システムへの資本注入のために、欧州金融安定基金(EFSF)またはその後継機関である欧州安定メカニズム(ESM)から最大1,000 億ユーロを借り入れる意向である。これにより、金融危機の発生以来、大幅に増大した同国の債務負担は、さらに膨らむとみられる。

(2)スペイン政府の金融市場へのアクセスは大きく制約されている。これは、銀行への資本注入のための資金をEFSF あるいはESM に依存する度合いや、新規発行国債の主な買い手としてECBから資金調達している国内銀行に依存する度合いが高まっていることに表れている。

(3)スペイン経済の低迷が続いているため、政府財政の悪化と、突然の資金調達の停止に対する脆弱性の高まりが、今後数年以内に力強い経済成長がある程度見込まれる場合に比べ、より深刻に懸念される。

また、ムーディーズは13日、ソブリン格付の引き下げに伴い、スペインの銀行再編基金 (FROB) の格付を、「A3」から「Baa3」に引き下げ、さらなる引き下げの方向で見直しの対象とした。FROBの債務は、政府が全額を無条件で保証している。

ムーディーズはさらに13日、スペイン政府の短期予備格付を(P)Prime-2から (P)Prime-3 に引き下げた。同様に、FROB の短期格付もP-2からP-3に引き下げた。

引き下げ方向での見直しにおいて、ムーディーズは、「現在行われているスペインの銀行システムの外部監査の結果、EFSF/ESM からの融資の条件と詳細、銀行システムへの資本注入に向けた具体的な実行戦略、に重点を置く」としている。また、ユーロ圏レベルで何らかの新たな措置がとられる場合は、それも考慮するという。加えて、「ギリシャのユーロ離脱のリスクが高まれば、スペインの格付(ならびに他のユーロ圏諸国の格付)は、マイナスの影響を受ける可能性がある」としている。

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