邪馬台国の女王、卑弥呼(ひみこ)の墓との説もある奈良県桜井市の「箸墓(はしはか)古墳」について、同県立橿原考古学研究所は上空からの3次元(3D)航空レーザー計測による詳細な赤色立体地図を作成し、公表した。

箸墓古墳は3世紀中ごろから後半にかけて造られたとみられる、全長約276メートルの最古級の大型前方後円墳で、現在は宮内庁指定の陵墓として研究者などの立ち入りが制限され、樹木に覆われている。古墳の測量図としては、大正年間に作られたものしかなかった。 同研究所は4月に、航空測量会社「アジア航測」(本社・東京都)の協力を得て、高度500メートルのヘリコプターからレーザー光を毎秒40万発発射しながら、古墳上空を井桁(いげた)状に飛行し、計測図を作成した。

その結果、これまで後円部が5段構造、前方部が4段構造と考えられていた同古墳は、前方部は3段からなり、前方部側面には無いとされていた段築も存在することが分かった。また後円部には、これまでの測量図では分からなかった、墳頂部の円丘を囲むように環状の高まりのあることも確認できた。

このほか、同県天理市にある全長約230メートルの前方後円墳「西殿塚(にしとのづか)古墳」(宮内庁管理)についても同じ計測を行った。丘陵斜面に南北を主軸に造られた同古墳は、これまで後円部が東側3段・西側4段、前方部が東側1段・西側2段と見なされていたが、今回、後円部・前方部とも東側4段、西側は張り出しを含めて5段となる構造であることが明らかになったという。