リコージャパンとシスコシステムズは、中堅中小企業向けの通信コミュニケーション分野で協業し、PBX(構内交換機)の機能ほか、内線/外線電話、メール、Web会議やビジネスチャットなどをクラウド上のサービスとして提供する「リコービジネスインターネットサービス(RBIS)」を10月から開始すると発表した。

協業を発表したリコージャパン 代表取締役 社長執行役員 佐藤邦彦氏(左)とシスコシステムズ 代表執行役員社長 平井康文氏(右)

また、シスコ製のIPフォンや各社のスマートフォン、タブレット端末など各種デバイスの一括導入にも対応するほか、IP-VPNサービスもリコージャパンが提供する。

「RBIS」で提供されているサービス

「リコービジネスインターネットサービス」の環境では、ユーザーが所有する携帯電話/スマートフォンを会社の内線/外線電話機として活用できるほか、外出先からモバイル端末でWeb会議に参加する、メールや電話ビジネスチャットなど最適なツールを選択してコミュニケーションを行うといったことが可能となる。

Webで提供されるクラウド電話帳。個人欄には、PCの接続状態(オンライン/オフラインなど)、電話の状態(未接続/通話中)などの表示のほか、Email、Chat、電話ボタンがあり、選択した方法でダイレクト連絡できる

ユーザーが所有する携帯電話/スマートフォンを外線電話で利用する場合、コールバック機能を使用することにより、会社の番号による発信も行える。

iPhoneでの電話帳閲覧

コールバック機能を使用することにより、会社の番号による発信が行える

資料を共有しながらのWeb会議も可能

クラウドサービスの活用に加えて、内線電話機として、BYOD(Bring Your Own Device)にも対応したスマートフォンを使用することで、初期費用や運用管理負荷の軽減、利用者増減への柔軟な対応などが可能になるという。10月サービス開始のため最終的な価格は未定だが、拠点2カ所、従業員数100人程度の会社の場合、利用料は月額20万円弱程度になるという。これにより、初期費用で約52%、月額費用で約28%のコスト削減が可能だという。

PBX(構内交換機)機能やユニファイド コミュニケーションを実現するためのアプリケーションは、シスコの「Cisco Unified Communications Manager」などを採用し、サービスの販売はリコージャパンが行う。

リコージャパンでは、通信コミュニケーションに関する商談を支援する専任営業部門を新設し、当初は50人体制で設置し、2015年度には200名体制に拡充する。そして、全国約9,200人の営業担当者と専任営業が連携して、顧客の状況やニーズに合わせた最適な提案を行うという。また、今後は協業パートナーを増やし、会計ソフトなど中堅中小企業向けのソリューションを追加し、クラウド上で提供する予定だ。

リコージャパン 代表取締役 社長執行役員 佐藤邦彦氏は、「シスコのコミュニケーション分野での製品サービス群や信頼性の高いネットワーク基盤と、リコーの強みである中小企業を中心とした100万を超える事業所の顧客を持つという強みを組み合わせ、新たな顧客価値を創出する」と語る。そして、「これまでのドキュメント、ITサービスに加え、通信コミュニケーション分野で確固たる地位を築いていきたい」と述べた。

リコージャパン 専務執行役員 窪田大介氏

また、シスコシステムズ 代表執行役員社長 平井康文氏は2012年のビジネスの4つのキーワードとして「Mobile」、「Social」、「 Visual」、「Virtual」の4つを挙げ、これらを組み合わせて新しい価値を生み、顧客に満足ではなく驚きを与えたいとした。

リコージャパン 専務執行役員 窪田大介氏は、今回のRBISで、2015年度に100億円の売り上げを達成したいとの目標を掲げた。また同氏は、他社が参入するデータセンター事業について、「我々が差別化しやすい領域ではない」と述べ、今後もリコーはクライアント側のソリューションに特化していく意向であることを明らかにした。

平井氏が掲げた2012年のビジネスの4つのキーワード

リコージャパンの通信コミュニケーション分野での売り上げ目標