Infineon Technologiesは、次世代車載用高速CANトランシーバファミリ「TLE7250」を発表した。

同ファミリは、「TLE7250G」と「TLE7250GVIO」で構成されており、「TLE7250G」は5VMCUのインタフェースとして機能し、「TLE7250GVIO」は電圧参照入力機能により、5/3.3VのMCUI/Oインタフェースに対応する。旧世代製品と比べた場合、新型トランシーバは1MHz~1GHzの周波数帯での電磁干渉(EMI)への耐性が向上しており、150kHz~1GHzでの電磁放射線(EME)が削減される。さらに、IEC61000-4-2に準拠し、±8kV以上のESD耐性を備える。無通電時のインピーダンスが高く、CANバスの漏れをパワーダウンモード時で5μAに抑えられる。また、15μA未満の低静止電流(5Vのスタンバイモード)との組み合わせにより、高いエネルギー効率が得られる。「TLE7250G」と「TLE7250GVIO」はパワーダウン状態でパッシブ動作が得られるよう最適化されており、ミクスド・サプライCANネットワークに適している。

両製品は、車載ネットワーク(IVN)アーキテクチャ上であらゆる種類の電子制御ユニット(ECU)と接続し、車載用アプリケーションのデータ交換で重要な役割を果たす。物理バス層とCAN(Control Area Network)プロトコル・コントローラのインタフェースとして機能する「TLE7250G」と「TLE7250GVIO」は、バスへの信号を駆動し、ネットワーク内で発生する干渉からMCUを保護する。

また、独自のスマートパワーテクノロジー(SPT)をベースとしており、同一のモノリシック回路上でバイポーラCMOS制御ユニットとDMOSパワーデバイスが形成されている。「TLE7250G」と「TLE7250GVIO」およびSPTテクノロジーはAEC適合を取得しているため、車載用環境に十分な耐久性を持つ。

さらに、最大1Mbaudのデータ転送速度で、フェイルセーフ機能やCANHおよびCANL信号の最適化された出力スルーレートにより、高いデータ転送速度を持つ大規模CANネットワークに最適となっている。この他、静止電流とデータ転送向けにそれぞれ特別な特性を持ち、通常、受信のみスタンバイの各種動作モードが用意されている。

「TLE7250G」と「TLE7250GVIO」はISO11898-2に準拠しており、ドイツのOEMハードウェア要求仕様のV1.3(2012年5月)に対応する。「TLE7250」ファミリはESDとEMCに関する最新のグローバルな要件に対応しており、グローバルなECUポータル設計で使用できる。

この他、GNDバッテリやVCCへの母線の短絡回路保護機能に加えて、自動車の過渡電流からの保護も実現した。短絡回路電流が最大100mAまで抑えられているため、5V電圧レギュレータの電流要件が半分で済み、関連するシステムコストも削減できる。また、TxDタイムアウト機能により、セキュアなソリューションとなっていることから、ソフトウェアの不具合やマイクロコントローラの障害、TxD信号での短絡回路によってCANバスがブロックされることがない。

なお、パッケージは、両製品ともRoHS準拠のPG-DSO-8。すでに量産を開始している。旧世代製品の「TLE6250G」および「TLE6250GV33」とピン・機能互換性もあるという。