ルネサス エレクトロニクスは、32ビットマイコン「RX」ファミリのエントリ版として「RX220」グループを発表した。

近年、家電製品やデジタルカメラ、スマートフォンなどの携帯機器、および産業機器などの高性能・高機能化が進み、16ビットマイコンを搭載した機器では、コストを増加することなく処理性能の向上、消費電力の低減、機能安全の強化を実現することが求められている。また、同一CPUコアのマイコンによる下位から上位までの幅広い製品展開を望む根強いニーズもある。

同製品は、16ビットマイコン並みの低価格ながら32MHz動作時約50DMIPSの高性能を低消費電力で実現。8MHzまでの低周波数領域においてCPUのみを動作させた場合では、「RX210」グループの半分以下まで消費電力を削減できる。さらに、同製品からの上位展開として、「RX210」グループ(最大50MHz動作)やRX高機能版の「RX630」グループ(最大100MHz動作)と高い互換性があり、搭載機器のアップグレードが容易にできるという。

1.62V~5.5Vの幅広い電圧に対応し、1.62V~1.8Vでは最大4MHz、1.8V~2.7Vで最大8MHz、2.7V~5.5Vでは最大32MHzで動作する。これにより、低電圧で動作するポータブル機器から、5Vで動作する家電、産業機器まで幅広く対応できる。また、全動作電圧において、内蔵するフラッシュメモリの書き換えが可能なため、1.8V以下の低電圧の場合でもフラッシュメモリ書き換え用に別電源を設ける必要がなく、システム設計を容易化できる。

この他、クロック周波数の上昇、下降を検出するCAC(Clock Frequency Accuracy Measurement Circuit)、発振子の発振停止検出回路、RAMの故障テストをアシストするDOC(Data Operation Circuit)、通信のエラーを検出するCRC(Cyclic Redundancy Check)、システムクロックとは独立したクロックで動作する独立ウォッチドックタイマIWDT(Independent Watch Dog Timer)、A/D変換器のアナログ入力の断線検出機能、A/D変換器の故障を検出する自己診断機能が搭載されている。「RX220」グループは、これらの機能をマイコンのハードウェアで搭載する。これにより、従来のシステムのフェイルセーフを実現するための外付け回路やソフトウェアの処理を削減しながら、家電の国際安全規格IEC60730にも対応可能となっている。また、ドイツの電気関係の安全規格認証機関であるVerband Deutscher Electrotechnischer e. V.(VDE)の認証も取得している。

なお、「RX220」グループは、12ビットA/Dコンバータ(ADC)、3相モータ制御用タイマ、リアルタイムクロック、イベントリンクコントローラなどの豊富な周辺機能を内蔵しており、100ピンパッケージで256KBのフラッシュメモリを搭載した最大構成品から、従来の「RX200」シリーズではカバーしていなかった48ピンパッケージで32KBのフラッシュメモリを搭載した小ピン、小容量の製品まで幅広いラインアップを展開する。サンプル価格は265円から。すでに、11品種のサンプル出荷を開始しており、量産は2012年12月より順次開始する。2013年12月には、月産100万個まで生産を拡大していく計画。

今後は、「RX200」シリーズのメータの計測用途向け製品を投入するなど、ユーザの幅広く多様なニーズに対応する豊富な製品ラインアップを展開する予定。

ルネサスの低消費電力32ビットマイコン「RX220」