日本アイ・ビー・エムは5月23日、世界主要企業のCEO(Chief Executive officer:最高経営責任者)を対象に実施した「IBM Global CEO Study 2012」の調査結果を発表した。

同調査は、CEOが抱えている戦略的課題や関心事を理解・分析することを目的とし、IBMのコンサルタントが世界の主要企業のトップ経営者や公共機関のリーダーに直接インタビュー形式で行ったもの。5回目となる今回は、世界64ヵ国、1,709名(うち日本からは175名)のCEOを対象に実施した。

同社は、ソーシャル・メディアの進展により人々が広く深くつながっていく環境が拡大する「コネクテッド・エコノミー」において企業が優位性を確立するため、CEOはテクノロジーを活用し、社員や顧客、ビジネス・パートナーとの「つながり」を重視していることが明らかになったとしている。

同調査では、売上成長率と収益性が業界平均より高いと回答した企業を「高業績企業」と定義し、それ以外の企業との比較分析を行っている。その結果、高業績企業のCEOがコネクテッド・エコノミーにおいて企業の優位性を確立するために、「価値観の共有を通じて社員に権限を委譲する」、「個のレベルで顧客に応対する」、「パートナーシップによってイノベーションを増幅する」の3点に取り組んでいることが分かった。

価値観の共有を通じて社員に権限を委譲するとは、組織をオープンにして、社員に権限を委譲し、社外とより積極的につなげるというもの。社員が成功するために必要な特性として、「協調性(75%)」「コミュニケーション能力(67%)」「創造性(61%)」「柔軟性(61%)」の4つを挙げている。優れた社員を惹きつけるために重要となる組織要因としては、「共有される価値観(65%)」、「コラボレーションを推奨する職場環境(63%)」、「組織のミッション(58%)」が挙げられている。

個のレベルで顧客に応対するとは、ソーシャル・メディアが対面に並ぶ主要な顧客接点となるというもの。「現時点でソーシャル・メディアが重要な顧客接点である」という回答の割合は16%にすぎないが、「3年から5年後には重要な顧客接点になる」と回答した割合は57%にまで高まっている。

パートナーシップによってイノベーションを増幅するとは、他社との連携を積極的に行うというもの。2008年調査では55%だったが、今回の調査では69%に達した。高業績企業では「イノベーションを実現するために他社と広範囲に連携する」と回答した割合が59%に上り、低業績企業に比べて他社とのつながりを重視する割合が28%高いことが認められた。