スマホ/PC向け書店「honto」がリニューアル、リアル店舗との連携機能を追加

 

トゥ・ディファクト(2Dfacto)は、同社が提供する電子書籍配信のオンライン書店「honto」をリアル店舗の書店と連携させた「ハイブリッド型総合書店」にリニューアルした。同社は5月18日には説明会を開催し、小城武彦社長がオンライン書店とリアル書店の購買履歴を共有化するなど、オンラインとリアルの融合を推進する考えを示した。

電子書籍配信のhonto。紙の書籍の購入にも対応する

hontoは、大日本印刷(DNP)、NTTドコモ、丸善CHIホールディングスの共同事業会社であるトゥ・ディファクトが運営するサービス。スマートフォンやタブレット、PC向けに電子書籍を配信するオンライン書店であり、DNPグループのオンライン書店「bk1」も統合してサービスを提供している。今回のリニューアルでは、電子書籍に加えて紙の書籍を検索して購入できる態勢を構築。電子書籍だけでなく、紙で欲しい書籍や電子書籍がない作品も、同じ画面上から検索、購入ができるようになった。電子書籍がない作品に対して、「電子書籍化を希望する」ボタンを用意し、ユーザーからの要望も集めて、出版社に提案する機能も設けた。

電子書籍と紙の書籍の両方が購入できる

電子書籍がない書籍には「電子書籍化を希望する」ことも可能に

電子書籍のまとめ買い、他人へのギフト購入も可能に

グループ内の丸善、ジュンク堂、文教堂書店という3つの書店チェーンと連携し、6月下旬以降に3書店とhontoで共通したポイントカードを発行。いずれの書店で購入してもポイントが付与される仕組みを作った。

ポイントカードを共通化することで、リアル店舗でもオンライン書店でも共通したポイントを利用できる

ポイントカードに加えて「データベースを使った本格的なCRM(顧客管理システム)」(小城武彦社長)を構築したことで、顧客の購入履歴にもとづいたレコメンドが可能になり、個人個人に応じたカスタムのレコメンドをメールで送信できるようになる。

個人の趣味嗜好に応じたカスタムのレコメンドをメールで送信できる

小城社長は、オンライン書店は検索性と利便性には優れているが、「書店に行って新しい書籍に出会う」といった偶発性は「リアルにはかなわない」としている。そのため、新しい書籍との出会いを実現するために、購入履歴を使ったCRMによって、趣味嗜好に適した書籍をレコメンドすることを狙っている。特に「雑誌は嗜好性が強い」ため、こうした情報を積極的に活用する考えだ。これに加え、過去7年間にわたって記録されてきた書店のレシート情報も利用。個人情報とは紐付いていない情報だが、この「5億件」(小城社長)にも及ぶ購入情報も使って、適切なレコメンドを実現するとしている。

ポイントカードでオンライン書店とリアル店舗の情報が紐付けられることで、hontoアプリ上の本棚には、電子書籍だけでなく、紙の書籍の情報も登録され、購入した書籍が一元的に確認できるようになる。もちろん、リアル書店で本を購入する際にポイントカードを提示しなければ、ポイントは付かないが、購入履歴との紐付けも行われない。

電子書籍でも雑誌の定期購読が可能

電子書籍も紙の書籍も1つの本棚で管理できる

小城社長は、米国がリアル書店9,400店に対して売り場面積が東京23区より広い1,000平方kmだが、日本は書店数15,000店に対して売り場面積は25平方kmと小さく、1書店当たりのカバー人口は米国の34,000人に対して8,500人とのデータを提示。米国は車で書店に行くというスタイルだが、日本は通勤途中などで身近に書店があると指摘し、さらに出版文化が異なることから、「米国型が何でもいいのか」との疑問を示す。

小城武彦社長

日米のリアル書店の違い

さらにネット調査では、日本人の40.4%はリアル書店でだけ書籍を購入しており、オンラインでの購入だけの人は5.7%しかいなかったほか、電子書籍を購入しても73.8%が紙の書籍購入の頻度が変わっていない、電子書籍が今後増えたとしても63%がこれまでと同じ頻度で、リアル店舗で購入する、という結果が出ている。この結果などから小城社長は「リアル店舗とネット、紙と電子の双方を展開するのがユーザーにとってもいい」と考え、ハイブリッド型総合書店へ舵を切ったという。

90%以上がリアル書店を利用しており、ネットのみというのは少数

電子書籍があっても紙の書籍の重要性は減っていない

小城武彦社長はさらに、リアル書店には「本の知識に優れた書店員がいる」ことで、店舗に書店のお勧め書籍やレビュー、POPといった「新しい本に出会う仕組み」があり、これをオンラインにも応用し、「リアルな書店を有するグループならではのサービス」を展開していきたい考えだ。

そのほか、行きつけの本屋があるユーザー向けに「マイ店舗登録」機能を用意し、その店舗からの各種案内も送付できるようにする。リアル店舗ではサイン会などのイベントも開催されているが、そうした情報がこれまで活用し切れていなかったことから、今回の仕組みでこれも実現していく。

日本の読書環境を考慮してハイブリッド型総合書店戦略が必要

ネットとリアルの長所を生かしてシナジー効果を狙う

小城社長は今回のリニューアルが、「ネット専業だと、ネットの購入履歴だけだが、リアルで買っている履歴も生かして初めて提供できる」サービスだと強調。今後は、リアル店舗の在庫を検索して1ボタンで取り置きできるようなサービスを、年内にも提供していく計画だ。

紙と電子を組み合わせた「ハイブリッド商品」(小城社長)の展開も視野に入れており、自宅では紙で、移動中はスマートフォンなどで電子書籍を読む、といった読書体験の実現も目指す。紙の在庫がないような書籍でも、DNPのPOD(プリントオンデマンド)を活用して書籍化しつつ、それが届くまでは電子書籍で読めると言ったサービスも検討するとしている。

紙の書籍購入者に電子書籍を安く提供したり、電子書籍を先行提供したり、「ハイブリッド商品には色んなバリエーションがある」ことから、売れ行きがどうなるかの仮説を立て、それを検証していく考え。そのうえで、「リアルとネット、紙と電子を組み合わせながらすばらしいサービスを提案していきたい」と意気込む。また、小城社長は「リアル書店を真ん中に据えて、それをネットと有機的に結びつける。日本の読者、生活者の読書スタイルを尊重した読書モデル」を実現するのが目標としており、その根幹としてあるのが今回構築したCRMと説明し、「かなりの自信がある」とアピール。「顧客のデータ(購入履歴など)を預かる以上、IT武装で顧客にメリットがあるようにしていきたい」としている。

DNPの北島元治常務

DNPの大日本印刷常務取締役・北島元治氏は、「今まで培ってきた知見とデジタル化技術を核として、新しい出版流通の形を構築していきたい」とし、その中核がhontoであると説明。「本を電子で読むという新しい読書体験はもとより、今まで出会えなかったほんとの出会い、デジタルならではの表現との出会い、手軽に買える・読めるという読書体験の幅を広げる」サービスとして成長させていきたいとしている。

電子書籍と紙の書籍、オンライン書店とリアル店舗が一元的にデータを把握できることは「これまでになかった、初めてのケース」と小城社長。紀伊國屋書店でも同様のシステムはあるが、3書店グループとレシートも加えた膨大なデータとCRMを大きな差別化点とアピールし、読者にはレコメンドによる新たな書籍の出会いを提供する。小城社長は、電子書籍化が紙の書籍やリアル書店を置き換えるのではなく、共存して出版市場を拡大していくとの認識で、これを今回の仕組みで実現していくのが狙いだ。

また、リアル書店に行って新しい本に出会い、その場でhontoを利用して購入できるような仕組みの構築も狙っており、「こうしたことはグループ内にリアル書店を持っていないとできない」と小城社長は語る。また、今後はグループ外の書店も「IT武装」がないと拡大が見込めないとして、今回の取り組みが成功すれば、CRMを外部に提供して、書店文化の維持にも貢献したい考えだ。

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