茨城、栃木県内で6日に起きた竜巻被害は、3つの竜巻がほぼ同時に発生し、いずれも発達した巨大な積乱雲「スーパーセル」が原因だった可能性が高いことが分かった。

気象庁の気象研究所の中間報告(11日)によると、3つの竜巻のうち、栃木県真岡市で同日午後零時40分ごろに発生した竜巻による被害範囲は、茨城県常陸大宮市まで幅約650メートル、距離約31キロメートルに及んだ。被害程度からの突風の強さは、弱い方から強い方へのF0-5の6段階評価のうちF1-2と推定された。また、この移動距離は1978年2月に川崎市で発生し、千葉県鎌ヶ谷市までの約42キロメートルに次ぐ観測史上2番目の長さだった。▽茨城県筑西市で同日午後零時半ごろ発生した竜巻(突風の強さF1)による被害は幅約600メートル、同県桜川市まで距離約21キロメートルと推定された。▽茨城県常総市で同日午後零時35分ごろに発生した竜巻(突風の強さF2)による被害は、同県つくば市北条地区まで幅約500メートル、距離約17キロメートルに及んだ。ドップラーレーダーの解析により、移動時間は18分、時速約60キロメートルの速度だった。

気象庁によると、6日の日本上空には高度5,600メートル付近の気温が約零下18℃という寒気が入る一方、日射の影響で地上の気温が上昇して25℃度を超え、上下の温度差が45 ℃もあって大気が非常に不安定だった。さらに6日正午ごろには強い南風によって、海上から関東平野中部に非常に湿った空気が約50 キロメートルの幅で流入し、その領域では積乱雲が発生・発達しやすい環境となっていた。

こうした観測データを基に、当時の気象状況の数値シミュレーションを行った結果、積乱雲内部で秒速30メートルを超える上昇流が発生し、水平方向の長さ20キロメートル、高さが13キロメートルに及ぶ巨大な積乱雲(スーパーセル)が発達していた。このスーパーセルによって、竜巻や強雨、雹(ひょう)などの激しい気象現象をもたらしたとみられる。

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