作家・星野智幸の小説で大江健三郎賞を受賞した『俺俺』が三木聡監督によって映画化されることが2日、明らかになった。

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同作は、郊外の家電量販店で働いているどこにでもいそうな主人公の均が、なりゆきでオレオレ詐欺をしたことから、"俺"が増殖し、とんでもない事態に陥っていく奇想天外なストーリー。ドラマ『時効警察』(2006年、2007年)、『熱海の捜査官』(2010年)や映画『転々』(2007年)、『インスタント沼』(2009年)などの三木聡が映像化に挑む。主人公の均を演じるのは、映画初主演(単独)となるKAT-TUNの亀梨和也。"ミリタリーマニアの俺"、"巨乳の俺"、"全身タトゥーの俺"など20人以上に増殖していく俺を演じ分けていく。

三木監督は「増殖し続ける俺を、一体、誰が演じられるのだろうか? と思った。通常の役者が手練手管で演じ分けてもなぁ。必要なのは新しいタイプのリアリティー。現実を背景に不条理な設定を抱えたままどう立つか? それが問題なのだ。制作を進めるうち、この不可解な主役を演じられるのは亀梨氏しかいないと思えた」と亀梨の起用理由について説明。亀梨も「自分にとってすごく新しい挑戦だと思いました。台本を読んでみて、「自分が増殖していく」という本来絶対ありえない設定ですが、決して非現実的社会ではなく、ものすごく現実に近いところで起こる、奇妙さがおもしろいと思いました。撮影しながらも『どうなっていくんだろう』と色々な発見があると思います」と新境地に意欲を見せている。

三木監督といえば、随所に小ネタをちりばめ、独特の世界観を築く作品が多いが、「正直どうなるか? 全くわからない。だからやりたいと思う。亀梨氏と私、そして共演者スタッフ達は映画の撮影終了時までに何か答えをみつけることが出来るのか? それとも映画の観客だけがその答えをみつけられるのか? 背景は東京郊外。誰でも知ってる場所で誰にもわからない出来事が起こる。小ネタは少なめです」と新たな作風を予感させるコメントを寄せている。

映画『俺俺』の撮影は5月上旬にスタート。6月中旬まで行われ、2013年に全国公開予定。