歴史上には男色というBL的慣習がありますが、先日4月8日(日)に放送されたNHK大河ドラマ『平清盛』第14回の山本耕史さんと大東駿介さんのシーンに、心の小鳥が飛び立った腐女子の方も多いのではないでしょうか。NHKは『天地人』しかり、日頃頑張っている腐女子に時折プレゼントをくださるのでうれしいですね。

 さて一方で、「BLは二次元に限る!」という腐女子の皆さんに、ともにすてきな貴腐人になる道を歩むべく、中級者向けのBLコミック4冊を紹介させていただきます。

BLの醍醐味(だいごみ)!両方おいしい「リバカップル」BL

 リバカップル(“攻め”と“受け”が決まっていない)は、BLコミック醍醐味(だいごみ)の一つ。ただ一方でキャラ設定やストーリーが難しく、作品数として少ない貴重な存在でもあります。その中で、発売当日に売り切れが続出、古本は定価以上の値段がつき、現在も店舗で見かけたら即買必至の名作なのが、日高ショーコの『初恋のあとさき』(芳文社)。初恋の人と10年後に再会するという一見ありがちなストーリーを、人間関係を繊細に記述することで、涙を誘う切ない大人の読み物に仕上げています。

 なお、腐女子を見破る「攻めの反対は?」という有名な質問がありますが、「受け」と答えてしまった貴女は、腐女子初心者認定です。腐女子中級者になると「えー守り。何の質問?サッカー?今度、長友がアイスのCM出るよねー。」くらいの反応が返せるようになります。

2011年に大ブレーク「子持ち」BL

 次に2011年に発刊冊数が大幅に増え、目にする機会が増えたのが「子持ち」設定のBLコミック。ここでは、大ブレークした「子持ち」BLから印象の違う2作を紹介します。まずは、『昭和元禄落語心中』(講談社)が「まんが大賞2012」で4位、「このマンガがすごい!2012(おんな版)」で2位を受賞し、2012年大注目の雲田はるこ。彼女が描いた『野ばら』(東京漫画社)は、年下男性と離婚後ひとりで子育てをする男性との恋愛を、かわいいキャラと絵柄でポップに描いた作品。子どもやおばあちゃんなどのサブキャラまで生き生きと描かれており、表紙の下に隠されたキャラ別の体形の描き分けと併せて、雲田さんの確かな画力とこだわりを感じます。

 大人になるとおいしさがわかる食べ物があるように、BLコミックでも年を重ねて良さが分かるものがあります。西田東の『素晴らしい失恋』(竹書房)は、まさにその代表格。登場人物はボーイズ……ではなくいい年をしたオヤジ、その上絵柄や設定も派手とは言えません。家庭を大切にするオヤジだからこそ好きになった男性の葛藤と切なさが、深い愛情ともに描かれています。ビターな後味ながら、あたたかい気持ちになるコミックです。

面白いけどちゃんと切ない「ギャグ」BL

 重めでドロドロのBLに食傷気味の方にお勧めなのが、SHOOWAの『イベリコ豚と恋と椿。』(海王社)。若干胃もたれしそうな題名ですが、ゴミ拾いを頑張る不良集団という設定から、キャラのあだ名、オムニバス形式のストーリーまで独自のネタが満載。何度も読み返してしまう中毒性で、発売から20日で2刷となった異色系モンスターコミックです。

 以上BLコミックといっても内容もジャンルも千差万別。皆さまが自分にとってぴったりな一冊を見つける手助けになることを願いつつ、次の「平清盛」の放送日を楽しみにしております。

文●山本種

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