米IBMは4月20日(現地時間)、旭化成とセントラル硝子の2社が同社のBattery 500プロジェクト・チームに加わり、自動車の主要エネルギー源をガソリンから電気へ加速的に転換させる可能性をもつ研究に共同で取り組むと発表した。

IBMリサーチは2009年、ファミリー・サイズの電気自動車が1回の充電で約500マイル(800km)走行することを可能にするリチウム空気電池の開発を行う、新しい持続可能なモビリティー・プロジェクトを立ち上げた。


リチウムイオン電池を搭載した今日の電気自動車の大半は、一回の充電で走行可能な距離は約100マイル(160km)であり、電気自動車普及の大きな障壁となっている。リチウムイオン電池を搭載した電気自動車が、燃料を満タンにしたガソリン自動車に匹敵するだけの距離を走行可能にするには、非常に大きなバッテリが必要となるが、そうすると自動車の重量は増し、多大なスペースを占有してしまう。

電気自動車を広く普及させるには、既存のリチウムイオンバッテリの10倍以上のエネルギー密度が必要とされている。リチウム空気電池は、その軽量な陰極と大気中にある酸素を主燃料とする構造により、リチウムイオン電池に比べてより高いエネルギー密度を有しており、同社では、今回の新しいパートナーのBattery 500プロジェクトへの参加は、リチウム空気電池技術をその目標達成に向け推進する大きな力添えになるとしている。

バッテリの放電/充電時の酸素消費量などを測定する質量分析計(IBM Research提供)

バッテリテストセル(IBM Research提供)

旭化成は、リチウムイオン電池用セパレータで高いシェアを有しており、これまで培ってきた膜開発技術を活かし、リチウム空気電池の重要な構成要素部品を開発する。

一方セントラル硝子は、自動車用リチウムイオン電池向け電解液を世界市場向けに生産しており、当分野における化学的知見を活かし、リチウム空気電池の性能を向上させることに主眼をおき、新種の電解液および高性能添加剤を開発する。