米Microsoftが次期OSの正式名称を「Windows 8」とし、「Windows 8」「Windows 8 Pro」「Windows RT」の3エディションをリリースするとの話題を先日お伝えした。同社では4月18日(現地時間)、Windows Software Assuranceのみで提供される4つめのエディション、「Windows 8 Enterprise」の概要について説明を行っている。

企業ユーザー対象のWindows 8 Enterpriseの付加機能

前回のレポートにあるように、一般ユーザーが入手可能なのが「Windows 8」「Windows 8 Pro」「Windows RT」の3エディションに限定されるのに対し、Software Assuranceを契約した企業ユーザーに対してはさらに「Windows 8 Enterprise」と呼ばれる4つめのエディションが入手可能になっている。EnterpriseはWindows 8のフルセット版であるProとほぼ同等の機能をもつが、さらに企業ユーザーを対象にしたいくつかの付加機能が用意されている。その一部が下記となる。

Windows To Go

BUILD Windowsカンファレンスでも紹介されていた、OSイメージをUSBスティックに格納して持ち歩くことを可能にする技術。ブート可能なOSイメージと各ユーザーごとのプロファイルがUSBスティックの中に格納されており、どのマシンからでも起動して自分のデスクトップ環境を再現できる。特定のデバイスに縛られず、セキュアに作業環境を利用するための仕組み。

DirectAccess

専用のVPNクライアント等を用意せずとも、リモートユーザーが企業ネットワーク内のリソースに直接アクセスする仕組みを提供する。Windows 8におけるDirectAccessの特徴は主に2点あり、まず通常のVPNとは異なりリソースへのアクセスが社内トラフィックと分離されていること、そして既存のIPv4インフラや大規模認証システムのない中小規模ネットワークでも簡単に導入が行える点が挙げられる。

BranchCache

クライアントPCに特定ファイルやWebページなどのキャッシュ保持を許可し、サーバ間のアクセス負担を軽減する技術。例えば「Windows Server 2012」(Windows Server 2008 R2の後継で、Windows 8世代のサーバOS)とクライアントPCがWANを挟んで接続された場合、BranchCacheを介すことでセキュリティを維持しつつWAN帯域の無駄な浪費を防ぐ。処理速度の向上のほか、WAN通信にかかるコスト低減効果が期待できる。

AppLocker

AppLockerはクライアントPC上で特定のファイルやアプリの閲覧や実行をポリシーベースで許可したり、あるいは禁止したりする仕組み。Windows 7/Windows Server 2008 R2にも搭載されている機能だが、Windows 8ではこの機能に関していくつかのブラッシュアップが行われている。

VDIの拡張

VDI (Virtual Desktop Infrastructure)とは、デスクトップ環境をサーバ上で集約して実行する仕組み。単純なターミナルサービスとは異なり、VDIでは仮想化されたOS環境そのものがサーバ上で実行されるという特徴があり、「実行するアプリケーションを選ばない」あるいは「よりリッチな機能が利用できる」といった傾向がある。Microsoftによれば、Microsoft RemoteFXとWindows Server 2012を組み合わせた環境において、3Dグラフィックスのサポート、USB周辺機器の利用、タッチ認識、LAN/WANサポートなどが提供されるという。

Windows 8アプリの展開シナリオ

ドメインに参加しているPCまたはWindows 8 Enterpriseを導入したタブレットPCにおいて、Windows 8のMetroスタイルアプリを内部的に自動導入可能な仕組みが用意されている。また全体に管理機能やセキュリティが強化されているほか、タブレットの利用ケースを意識した拡張が行われているようだ。

Software Assuaranceで提供されるその他の機能

また、Windows Software Assurance契約に同意したユーザーにはEnterpriseエディションの提供に加え、下記の利用権が自動ライセンスされる。

  • Windows To Go
  • Windows RT Virtual Desktop Access (VDA)
  • Companion Device License

上記のうち、「Windows RT VDA」とは、前述のVDIにおけるWindows RTのOSイメージ利用権となる。また個人用を含めてユーザーが複数のデバイスを所持している現状を踏まえ、「Companion Device License」と呼ばれるライセンス形態が想定されている。これはVDIやWindows To Goを使って社内リソースにアクセスする場合、最大4台のデバイスまでライセンスが付与されるというものだ(ただしオプション)。これにより、アクセスが想定されるすべてのデバイスに対してクライアントライセンスを購入しなくても済む。このほかWindows Software Assuranceユーザーには「Microsoft Desktop Optimization Pack (MDOP)」や「Windows Intune」の提供も行われ、企業ユーザーにはなるべくWindows Software Assuranceを利用してほしいという同社の意図もうかがえる。