京都大学は4月17日、肝臓の時計遺伝子が、肝細胞から核酸(RNA、DNA)の原料となるヌクレオチドを全身の臓器にリズミックに供給していることを発見したと発表した。成果は、京大薬学研究科のJean-Michel Fustin研究員、同岡村均教授らの研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、米国科学誌「Cell Reports」に掲載された。
ヒトの体を構成する細胞は恒常的なものでなく、常時、細胞が死に、その代わりとなる細胞が生まれている。そして、全身にヌクレオチドを供給しているのが、冒頭で述べたとおりの肝臓である。
細胞の再生時に、核の成分である遺伝情報を担うDNAの構成成分となるdATP、dGTP、dTTP、dCTPの生成は、時計遺伝子によってコントロールされ、時計がないと減少する。従って、時計がないと再生が遅れる可能性が高いということが判明したのである。
ヌクレオチドである「ATP(アデノシン三リン酸)」は、細胞のエネルギー産生の「米」や「通貨」などと例えられるが、これらは「ADP(アデノシン二リン酸)」の量によって決まる(正確には、ATPからADPとリン酸基に分かれる時に発生するエネルギーが生体内での主なエネルギー源となる)。
時計は、ミトコンドリアにあるADPを作る酵素の働きを活動期である夜間にADPの産生量を上げ、時計がないとATPが減少する仕組みだ。
今回明らかとなった核酸酵素の日内変動の研究により、「5-FU」などの抗がん剤の副作用が大きく日内変動を来すのは、時計遺伝子による酵素活性の変動のためであることが推測された。
時計遺伝子「Bmal1」の発現を抑えると、5-FUの本来の抗がん効果を増す酵素が増大し、正常細胞への毒性を増す酵素を減弱させる。従って、将来、この時計遺伝子をターゲットとした新しい治療薬を、がんの化学療法と組み合わせることで、新しいがんの化学療法が開ける可能性があるというわけだ。
時計遺伝子Bmal1の発現を肝臓で押さえると、肝臓での尿酸量が通常の倍以上に上がる。これは、時計欠損によりプリンの合成が弱まり、分解が亢進することが理由だ。よって、リズム異常で痛風となるリスクが上がると考えられる。
研究グループは、今回の研究により、時計遺伝子をターゲットとした新しい治療薬を、がんの化学療法と組み合わせることで、新しいがんの化学療法が開ける可能性があることが予測されるとした。
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