東京大学(東大)は4月4日、世界最薄・最軽量級の有機薄膜太陽電池の開発に成功したと発表した。同成果は、東京大学大学院工学系研究科 教授の染谷隆夫氏、同准教授 バイオ印刷グループリーダーの関谷毅氏、オーストリアヨハネスケプラー大学リンツ校 博士のMartin Kaltenbrunner氏、同教授のSiegfried Bauer氏、同教授のNiyazi Serdar Sariciftci氏らによるもの。今回の成果の詳細は、4月4日(日本時間)に「Nature Communications」オンライン版で公開された。

有機半導体を用いた太陽電池は、印刷手法など液体プロセスによってフィルム基板の上に容易に製造できるため、大面積・低コスト・軽量性を同時に実現できると期待される。しかし、ガラス基板上に成膜した太陽電池と、同じレベルの高い変換効率を有する太陽電池をフィルム基板上に、しかも液体プロセスを用いて作製することは困難とされてきた。

研究グループは、今回、有機溶剤にp型半導体とp型半導体をブレンドして溶解したインクを用いて、厚さ1.4μmの極薄フィルム基板上に、有機半導体薄膜を均一に形成するプロセス技術を開発。世界最薄・最軽量級の有機薄膜太陽電池を開発した。

発電量は1g当たり10Wに相当し、この値はあらゆる太陽電池と比較しても最軽量、最薄、最柔軟な太陽電池となるという。また、フレキシブル性に富んでおり、曲げ半径35μmに折り曲げても、エネルギー変換効率4.2%を維持しつつ機械的にも壊れない。人間の髪の毛(半径は100μm程度)に巻きつけることもできるという。さらに、今回の薄型有機太陽電池を応用して、300%伸縮させても電気的・機械的な特性が劣化しない伸縮自在な太陽電池も開発したという。

なお、東大では、今回の開発で太陽電池の超軽量化・超薄型化が達成されたことにより、今後、携帯用情報通信機器への応用や、ヘルスケアや医療用デバイス用の電力供給源など、新たな用途が拡大するものと期待するとコメントしている。

薄膜フィルム上に作製された有機薄膜太陽電池。(a)太陽電池の断面模式図。(b)直径35μmの髪の毛に有機薄膜太陽電池を巻き付けた写真。(c)有機薄膜太陽電池を伸縮自在なゴム基板上に貼り付けて、圧縮歪みをかけた写真。(d)ゴム基板上においた有機太陽電池を先の細いガラスパイプで下から引き延ばした写真。(e)ゴム基板上においた有機太陽電池の電子顕微鏡写真

様々な半導体材料を用いた太陽電池の1g当たりの発電量(W/g)。一番右の「Ultrathin OPV」が今回の成果