ロームグループのラピスセミコンダクタは3月30日、高信頼性DRAMシリーズとして、出力ドライバビリティ調整機能を搭載した64MビットSDRAM「MD56V62160M」のサンプル出荷を開始したことを発表した。サンプル価格は250円(税別)で、2012年4月より量産出荷を開始する予定。

従来、車載機器システムの動作時に発生する輻射ノイズは、800MHzを超える高周波数帯域などへの影響を与えるため、システムの品質向上にとって輻射ノイズの低減が重要な課題となっていた。同製品では、SDRAMの動作時に発生する輻射ノイズの低減、インピーダンスマッチングによるリードデータ出力波形の特性改善のため、リードデータ出力時の電流駆動能力を変更する出力ドライバビリティ調整機能を新規に搭載。モードセットレジスタの設定により出力ドライバビリティを変更、カスタマのシステムに応じて電流駆動能力の最適化を実現できるようにしたほか、輻射ノイズ対策部品の削減、ダンピング抵抗部品の削減などを可能とした。

また、出力ドライバビリティ調整機能は、電流駆動能力仕様をカスタマの要求に応じて、出荷時からあらかじめ固定仕様で提供することが可能であり、既存のSDRAMコントローラを使用している条件でも、モードレジスタをセットすることなく出力ドライバビリティを調整することができるようになっている。

さらに、車載機器分野における基板とのはんだ接続性の高い信頼性要求をクリアするため、接続信頼性に優れる銅リードフレームのパッケージを採用。従来の42アロイリードフレームと比べ、熱膨張係数が基板の熱膨張係数と近いため、はんだ接続信頼性が向上し、自動車メーカーが要求する基板実装状態での熱衝撃サイクル基準をクリアしたほか、はんだめっきのウイスカ不良の発生も抑制することを可能とした。

なお同社では、今後も、高信頼性SDRAMの商品化、長期にわたる安定的な供給を目指し、128MビットSDRAMや256MビットSDRAM/DDR1、512MビットSDRAM/DDR2の商品化を進めていく計画としている。

ラピスセミコンダクタが開発した出力ドライバビリティ調整機能搭載の64MビットSDRAM