日本通信は、NTTドコモの高速通信LTEに対応したMVNO(仮想移動体通信事業者)サービスを3月31日より開始すると発表した。LTE通信に対応したデータ通信専用SIM「カメレオンSIM」を提供するとともに、LTE対応のポータブル無線LANルーター「b-mobile4G WiFi2」を発売する。

日本通信は、携帯事業者の回線を借り受けて通信サービスを提供するMVNOで、これまでドコモのFOMA網(3G)を使った独自の通信サービスを提供してきたが、今回Xi網(LTE)を借り受けて高速通信サービスを提供する。

カメレオンSIMとb-mobile4G WiFi2を3月31日から発売

これまで、PHSのMVNOから始まり、現在はドコモのMVNOとしてサービスを展開している

対応SIM「カメレオンSIM」の購入が必要で、5,800円で販売される。初期手数料3,150円が含まれており、実質的な通信料金は2,650円で21日間の通信が可能となっている。最大の特徴は「カメレオン」の名の通り、SIMを変更しなくても自分でプランを自由に変えて、プランを選択できるという点。

カメレオンをパッケージに採用

用意されているプランは3種類で、通信速度は300kbpsに制限されるが、安定して定額通信できる「U300定額」(2,480円/30日)、下り最大75Mbpsの高速通信が5GBまで利用可能な「高速定額」(5,400円/30日)、高速通信が120日間1GBまで利用できる「1GBフェア」(8,800円/120日)となっている。

3種類のプランの中から自由に選択できる

最初の21日間は下り最大74Mbps(屋外は37.5Mbps)の通信が利用可能で、その後は3種類のプランの中から選択できる。いずれも30日間または120日間の期限が終わったら、ほかのプランに自由に変えられ、Webサイトから簡単に変更できるようになっている。21日の間に自分の利用頻度を確認し、高速通信が大量に必要なら「高速定額」を、スマートフォンのみで速度がいらない場合は「U300定額」を、速度は必要だがあまり通信頻度が多くなければ「1GBフェア」を選ぶ、といった具合に、自分の用途に合わせて「色を変えていける」(三田聖二社長)ようになっている。

自由にプランを変更できる

プランの変更はWebサイトから可能

LTEの利用可能エリアはドコモのXiエリアに準じ、Xiが利用できない場所ではFOMA網を使った3G通信ももちろん可能だ。なお、データ専用のため、回線交換方式の音声通話はできない。SIMの形状は通常SIMとマイクロSIMの2種類から選べる。

SIMロックフリーの端末を利用することで、カメレオンSIMを使った通信は可能で、さらに日本通信ではLTE対応のポータブル無線LANルーター「b-mobile4G WiFi2」も発売する。LTEと3Gに両対応し、カメレオンSIMを入れて回線開通作業をすれば、すぐに利用できる。実売想定価格は32,800円。

b-mobile4G WiFi2

最小・最軽量のサイズにこだわった

WiFi2は、「名刺入れよりも小さい」(福田尚久専務)サイズで、55cc、95gと小型軽量を実現。ボディも薄く、ポケットに入れても気にならないことを目指したという。小型化と長寿命を目指し、ディスプレイは排除し、LEDインジケータで通信状況を表示するなどの工夫を盛り込んだ。バッテリ駆動時間は、スリープ状態で150時間。連続通信時間はLTE接続で5時間、3G接続で6.5時間となっており、「しばらく使っていたが、スリープ時間などを含めれば1日持つ」(同)そうだ。

バッテリ駆動時間

同時接続数は、既存の同社端末の5台に比べて倍の10台まで可能に

なお、開発は韓国AM Telecomで、ベース端末はあるが「共同開発の形」(同)であり、国内に特化させた製品になっている。SIMロックフリーだが、海外で利用することは「想定していない」(同)という。

本体側面

今夏に向けてカラーバリエーションも拡充する予定

Webベースの設定画面

三田社長は、「音声通話の売上をデータ通信が超えてきて、世界中のキャリアでも同じ状況」になっているが、日本通信では当初からそれを見越して事業を続けてきたと話す。その中で台頭してきたクラウドコンピューティングを生かすには高速通信が必要で、モバイル環境においてはLTEの速度や容量がなければクラウドコンピューティングが育たない、と指摘する。

三田聖二社長

国内ではドコモが先行してLTEサービスをスタートさせ、設備投資を続けているため、モバイルでのクラウド利用の環境ができあがってきていると三田社長。しかし、既存キャリアは2年間の契約を前提としたいわゆる2年縛りで定額料金しかプランがない。「今までキャリアができないことをやらなかったら、MVNOとして成り立たない」(三田社長)として、日本通信ではコストや通信速度を下げて、利用料金も下げるプランを生み出してきた。これをLTEサービスについても導入したのがカメレオンSIMだ。

日本通信はこれまで、サービスを拡充するに従ってSIMの種類を増やしてきたが、これを続けると「(SIMの)品種が増えすぎてしょうがない」(福田専務)ため、カメレオンSIMでは1つのSIMで複数のサービスを使い分けられるようにした。福田専務は、スペックを自分で変更してPCを注文できるBTOサービスにならって「BTO型」と呼び、これに対応するネットワークアーキテクチャを構築してきたと話す。

携帯キャリアは同一料金で大多数のユーザーを満足させようというプランだが、日本通信はBTOによって多品種少量サービスを目指す

同社のこれまでのSIMカード。増え続けるカードに対して、1枚でサービスを切り替えられるようにした

当初は3種類だが、今後ユーザーニーズに応じてプランは拡張していく予定で、SIMの交換は必要ながら、回線交換式の音声通話への対応もしていきたい考えだ。

(記事提供: AndroWire編集部)