英ARMは3月14日、世界最高クラスのエネルギー効率を実現した32ビット マイクロプロセッサ「ARM Cortex-M0+」を発表した。

Cortex-M0+プロセッサは、ARM Cortexプロセッサ・ファミリの最新製品であり、低コストの90nm LPプロセス実装における消費電力が、現在提供されている8ビットまたは16ビットのプロセッサの約3分の1に相当する9μA/MHzであるにもかかわらず、高性能を実現することが可能だ。低消費電力/低コストのMCU設計に最適化されており、情報家電、白物家電、医療監視機器、電子メーター、照明機器、電力/モーター制御機器など、幅広いアプリケーションのインテリジェントセンサやスマート制御システムに対応する。

同製品の機能は、「Internet of Things」と呼ばれるコンセプト、すなわちスマートで低消費電力のマイクロコントローラを使用した多様なワイヤレス接続機器の効率的な通信、管理、メンテナンスを実現する。 この低消費電力接続は、住宅や産業用建物の性能分析や制御をワイヤレスで行うセンサから、健康管理機器にワイヤレスで接続するバッテリ電源のボディセンサまで、エネルギーを節約しつつ生活を向上させる多様なアプリケーションを実現する可能性を秘めている。

Cortex-M0+は、大手シリコン・ベンダが50件以上ライセンスを取得している低消費電力でシリコン実証済みのCortex-M0プロセッサの成功を踏まえつつ、多数の新しい特長を加えてゼロから設計された。GPIOおよびペリフェラルへのアクセスを高速化するシングルサイクルI/Oを採用し、デバッグ/トレース機能を改良しているほか、2段パイプラインによる命令当たりのサイクル数(CPI)削減、フラッシュ・アクセスの高速化によって、さらに消費電力を削減する。

Cortex-M0と同じ、C言語に適した使いやすいプログラマ・モデルを利用し、既存のCortex-M0プロセッサ・ツールやRTOSともバイナリ互換となっている。他のシリーズのCortex-Mプロセッサと同様、Cortex-M0+もARM Cortex-Mエコシステムの充実したサポートを受け、ソフトウェア互換性によって、さらに高性能なCortex-M3、Cortex-M4プロセッサへの移行も可能となっている。

なお、米Freescale Semiconductor、蘭NXP Semiconductorsは、Cortex-M0+プロセッサの早期ライセンシとなっている。

Cortex-M0+プロセッサの画期的な低消費電力機能を最大限に生かすには、Artisan 7トラックSC7超高集積度スタンダード・セル・ライブラリおよびパワー・マネジメント・キット(PMK)を使用した実装が適している。また、Cortex-M0+プロセッサは、ARMコード生成ツールと、Keil μVision IDE、デバッガを統合した「ARM Keil」マイクロコントローラ開発キット(MDK)に発表当初から完全にサポートされている。MDK、およびULINKファミリのデバッグ・アダプタは、すでにCortex-M0+プロセッサの新しいトレース機能に対応している。さらに、米CodeSourcery、英Code Red Technologies、米Express Logic、スウェーデンIAR Systems、米Mentor Graphics、米Micrium、独SEGGERなど、サードパーティのツール/RTOSベンダ各社にもサポートされている。