足利銀行のシンクタンクである「あしぎん総合研究所」は8日、「東日本大震災発生1年後の状況調査」の結果を発表した。同調査は、1月中旬~2月中旬の期間に、「あしぎん景況調査」の調査対象先である企業1,924社を対象に行われ、1,108社から有効回答を得た。

現在の生産・売上の水準を尋ねたところ、震災発生前と比べて「マイナス」と回答した企業は38.2%(「大幅マイナス」8.5%、「ややマイナス」29.7%)。一方、「同程度」は39.4%、「プラス」が22.4%(「大幅プラス」3.8%、「ややプラス」18.6%)となり、震災前の水準に戻ったあるいはプラスになった企業は約6割だった。

2011年4月の「東日本大震災の影響調査」では、約8割の企業がマイナスの影響を受けていたが、今回の調査結果から半数以上の企業が震災ショックを乗り越えたことが推察される。

生産・売上の水準が震災前に戻っていない理由をみてみると、製造業では「円高」(40.2%)「海外経済減速による輸出の減少」(28.4%)、「原材料・資源などの高騰」(27.8%)など、震災以外の外部要因の影響が強いことが判明。また、「放射能被害・風評被害」(19.5%)、「部品不足・商品不足」(11.8%)、「工場・店舗・設備等の被害・閉鎖」(10.1%)などの震災の影響も根強く残っている。

マイナス理由(出典:足利銀行Webサイト)

非製造業では「消費者の嗜好の変化(需要減退)」(51.8%)、「放射能被害・風評被害」(34.4%)の回答が多く、このうち「放射能被害・風評被害」については、製造業では「飲・食料品」や「窯業・土石」、非製造業では「卸売」や「サービス」などが影響を強く受けていることが分かった。

震災や風評などによる企業の被害額(実損額)合計は809億8,200万円で、平均被害額は1社あたり1億140万円に上った。なお、被害総額および1社あたりの平均被害額は、前回調査より拡大したという。

復興需要については、概ね今後のプラス影響を見込んでいるが、業種によりかなりばらつきがあることが判明。 「窯業・土石」「金属製品」「木材・木製品」「鉄鋼・非鉄」など素材関連ではプラス影響への期待が高くなっているが、非製造業は多くが慎重姿勢で、建設業では「復興財源が東北にシフトされ、工事量減少」「資材不足、職人不足」など今後を懸念する声もみられた。

【関連リンク】

【連載】事例で学ぶiPhone/iPad活用術 (41) 利用者の伸び率が過去最高を記録 - 足利銀行が販促にiPadを活用

足利銀行、個人向けインターネットバンキングで外貨預金の取扱い開始

セブン&アイ共通商品券が当たる! 足利銀行「年金新規ご指定キャンペーン」